ウインドサーフィン池田 健星さん（16）久木・逗子高校１年
2020年、東京五輪。世界の頂点を決めるスポーツの祭典で活躍が期待される未来の原石が、逗子市にもいる。５年後の大舞台を目指し、日々鍛錬に励む２人の若きアスリートの今に迫った。
「今日はいい風が吹いてる」。セールとボードを携え、海に向ける表情に精悍さがのぞく。ウインドサーフィンの聖地として全国から脚光を浴びる逗子海岸。その海で、まだ16歳ながらひときわ異彩を放つ存在だ。
４年連続で世代別のワールドカップ代表選手となり、昨年７月の仏大会では１５７人中５位に入賞。８月、中国・南京で行われたユース五輪ではアジア予選トップの成績で本選に駒を進めるなど、「ウインドサーフィンの次代を担う逸材」との呼び声も高い。
そうした実績を裏付けるのは、才能の一言で片づけるには余りある努力の積み重ねだ。逗子の海に放課後毎日のように出かけ、週末はおよそ10時間、みっちりと練習をこなす。「誰よりも練習している自信がある」。才能に加え、その自負があるからこそ五輪という大舞台が現実のものとして立ち現れる。東京五輪に向けた意気込みは「もちろん金メダル」と言い切った。出場することではなく、世界の頂点に立つことが目標なのだ、と。
今年は自身にとって挑戦の年になる。これまでの「Ｔ（テクノ）‐２９３」からセールやボードが一回り以上大きい「ＲＳ‐Ｘ」と呼ばれる艇種に転向。年上の選手と同じフィールドで戦わねばならず、筋力や体力で不利な面もある。それでも「培ってきた技術力と戦略で勝ちをつかみにいきたい」と気後れはない。
５年後を見据え、考えていることがある。「近い将来、留学したいと思っていて」。描く先はロンドン五輪優勝国、オランダ。日本でウインドサーフィンはまだマイナースポーツの域でトップ選手と言えども、世界の頂点とは大きな開きがある。そこに立つためには海外の技術を吸収し、世界と渡り合える力をつける必要があると考えた。「１年か２年は行きたい」と海の向こうに思いを馳せる。
５年後は21歳。東京五輪での青写真を問うと「１位でゴールフィニッシュして、そのまま海に飛び込みたいです」とあどけなく笑った。
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