小坪漁業協同組合の組合長を務める 大竹 清司さん 逗子市小坪在住 55歳
地域との密着が筋道に
○…昨年3月、前組合長からのバトンを引き継ぎ、34人いる組合員の代表理事に就任した。一時は組合員の不足から解散を迫られた時期もあったが、現在では新規の就漁者も徐々に増え、これからがまさに発展期。多忙な毎日に「こっちの仕事が多くて本業がままならない」とこぼすも組合の行く末を視線に据え、しっかりと舵を握る。鍵になるのは、これまでなかった新しいことへの取り組みだ。
○…先月、観光組合とタッグを組み、旬の天然ワカメの即売会を行ったところ思いがけない反応があった。ブース前には長蛇の列ができ、開始30分ほどで完売する盛況ぶり。小坪で獲れる食材は流通経路が乏しく、その多くが市外の市場などで販売されている現状がある。「地元の人は地元の食材を求めている」と確かな手ごたえを感じた。漁獲が多いとは言えず、中には兼業する組合員もいる。「販路が増えれば生活の底上げになり、市民への還元にも繋がる。地域と密着していくことが今後の筋道になる」
○…父の代から小坪で漁業を生業としてきた。幼少から船に乗り、中学に入ると家業を手伝うように。「ロープや網の扱い方。そういうのは気が付いたら体が覚えていたよ」と振り返る。会社勤めを経て、家業に復帰してからも身に着けた肌感覚はすぐに取り戻した。そんな経験もあり、「やっぱりちゃんと覚えるまでには3年はかかる。漁は積み重ねがないと」が持論だ。
○…近く、若手の組合員を加えた新規事業のプロジェクトチームが立ち上がる。形になるか定かではないが、流行りのかき小屋を模した「さざえテント」や観光定置網で市民らに漁業を体験してもらうイベントなど活性化の原石はすでに頭の中にある。今月末には第2弾のワカメ即売や6月には市民還元祭も控え、やるべきことは山積みだ。それでも「新しいことをやれば可能性が開ける。地域に出来るだけ密着して、手を取ってやっていきたい」と結んだ。
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