逗子開成学園理事長の立川丈夫さん(75)がこのほど、山梨崇仁町長ら地元ゆかりの有識者と共著で「地域ブランドブックス4 葉山 高質なスロースタイルブランドの実践」と題した学術書を出版した。御用邸に象徴される「葉山ブランド」の成り立ちを文化、地理、歴史など多角的な視点から紹介している。
「まちづくりのヒントに」
同書は「地域デザイン学会」(東京都港区)が監修するシリーズの4冊目。これまで小豆島や淡路島など、地方の衰退が社会問題化する中、独自のブランディングに成功している地域を取り上げている。
経営学の専門家で自身も40年来葉山町に暮らす立川さん。「葉山を題材にした本は多くあるが、学問的にまとめたものは案外少ない。葉山ブランドの成り立ちを一度きちんと研究したいと思っていた」と出版の経緯を話す。同書は山梨町長と共同編著で、地域デザイン学会会長の原田保さんや地元町議、町職員ら8人の有職者が著者に加わり、およそ2年かけて1冊にまとめ上げた。
同著では全6章に分けて葉山ブランドの成り立ちを分析。その中で浮彫りになっているのは、ブランド価値の形成には葉山に暮らす人々の営みが大きく寄与しているということ。豊かな自然環境や御用邸に象徴される高質な文化性が維持されながらも、飲食店や商店が新たなコンテンツを発信しており、それらが調和して「葉山的雰囲気」を醸し出していることなどを紹介。さらにこうした価値を維持することが人口減や少子高齢化を乗り越える鍵にもなると示唆している。立川さんは「地域デザインに携わる方へのヒントとして、また地元葉山を愛する人たちにこれからの葉山を考える上でひとつの参考になれば」と話した。A5判、199頁。1冊2050円(税込)。逗子市、葉山町内の書店などで販売している。
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