下山口にある神明社で月に一度行われている「神明社あさいち」。その実行委の有志がこのほど、約300年前に建立された神社の成り立ちをまとめた紙芝居を完成させた。伝承や文献をもとにおよそ2年がかりで制作。近年葉山に移り住んできた住民らにも分かりやすく地域の歴史を伝え、郷土愛を育んでもらうのが狙いだ。
10月4日、朝市でお披露目
紙芝居「しもやま よもやま むかしばなし 神明社の巻」は12枚で縦26cm×横36cm。実行委の有志3人が組織する「漁村文化保存会」が脚本を作り、絵は木版画家の村田エミコさんが手掛けた。
舞台は300年前の下山口。地域で病が流行った際、村の役人が滝に打たれながら村人の回復を祈ると枕元に仙人が現れる。啓示に従って、長者ヶ崎の浜を歩くと波間に光輝く像を見つけ、それを祭るために社を建てた―と神明社の由来を紹介。夏祭りの渡御で神輿を担いだまま海へ入る「浜下り」の様子や現在も人々が集う憩いの場になっていることなども描かれている。物語は一部脚色されているものの、ほとんどが史実に基づいたものという。
きっかけは、3年前に始めた朝市。漁村文化が今も色濃く残る下山口地区では、先祖代々暮らす住民がいる一方、近年は豊かな自然を求めて都心や県内から移住する世帯も多い。移住者らは旧住民との接点がなく近所付き合いも希薄になっていたといい、東日本大震災を機に「地域住民の顔と顔を繋ごう」と境内で憩いの場作りを始めた。
「神社はかつて地域の中心だった。でも新しく移り住んできた人の中には神社があることすら知らない人もいる」とメンバーの佐藤恵子さん。3人はいずれも町外から越してきた”移住組”。今村直樹さんも葉山に越して13年になるが、神社の由来を聞いたことがなかった。地域の郷土史を耳にする機会も少なく、消えつつある文化や昔の暮らし方を子どもたちも楽しめる形で伝えようと紙芝居の制作を思いついた。
完成品は10月4日(日)に行われる朝市で初披露する(午前10時頃)ほか、今後は漁村文化や里山と漁村との関わりをテーマに次回作を制作する構想もある。メンバーの川崎直美さんは「郷土の歴史を知れば愛着も湧く。紙芝居を通じて郷土愛を育んでいければ」と話した。
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