息を飲むような美しい日本の原風景を、世界の人々に伝えたい――。
近年、訪日観光客が急増するなか、外国人旅行者向けのバイクツーリング会社を立ち上げた女性が葉山町にいる。「ファンライドジャパン」代表の松林由紀子さん(63)。今年3月に本格的に活動をスタートさせ、世界各国から申込みや問合せが相次ぐなど独自のサービスが関心を集めている。
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レンタルバイクで東京を出発。三浦半島を周遊し、海岸線を伝って箱根方面へ。以前SNS(交流サイト)で参加者を募って開催した1泊2日の旅程の一部だ。プランはオーダーメイドで、松林さん自らも先頭を走り利用客を案内。観光ガイドに載らないような穴場を見て回ったり、時にはご当地の文化や歴史を紹介したりもする。車では入り込めないような場所にも行けるバイクの特性を活かし、利用客の要望に応えるきめ細やかなサービスが最大の売りだ。
実は松林さんは国際線の元客室乗務員(CA)。35年間、数えきれないフライトで接客の技術を磨いてきた。英語も堪能で「自分ならではの質の高いサービスが提供できる」と自負する。
きっかけは8年ほど前、早期退職を控え20代のころに憧れた大型バイクの免許を取得して。全国津々浦々をひとりバイクでめぐる中で、地方の山村や漁村で目にする原風景の美しさに魅せられたという。あるとき能登半島で白い砂浜のようなものを目にした。近くの人が水をまくと表面が日光できらきらと輝いている。初めて目にする塩田だった。「なんて綺麗なんだろう。日本でしか見られないような景色と感動を、多くの海外の人に伝えたい」。訪日観光客の増加も、起業を後押した。
提案する旅程は神奈川近郊が主だが、三浦半島にもポテンシャルを感じているという。一面に広がる三浦のキャベツ畑や海岸線をバックにしたまち並み。それらもいわば地元の原風景で、県や地元行政が連携し、鎌倉や箱根に次ぐ観光拠点に推進する動きもある。「バイクのルートマップを作ったり、新しいことに挑戦しても面白いかもしれない」
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