逗子市桜山で先月22日、およそ60年ぶりに子どもみこしが復活した。地域の少子高齢化などから巡行が途絶えていたが、「桜山4丁目町内会」(細川進会長)が学童クラブから寄贈を受けて実現。30度を超える炎天下、子どもらは額に汗を浮かべながら住宅街を練り歩き、元気な掛け声を響かせた。関係者らは「来年以降も続けていきたい」と話している。
「声が小さいぞ。60年分のうっぷんを晴らせ」。法被を着た細川会長(63)が声を張り上げた。この日は地域の子どもら約30人が参加。「ソイヤ、ソイヤ」の掛け声とともに向原東公園から中里児童公園まで、休憩をはさみながら約1Kmを練り歩いた。参加した丸谷侑雅くん(6)は「(みこしは)重たいけど楽しい。また来年もやりたい」と笑みを浮かべる。
正確な記録は残っていないが、細川会長らによると、桜山でも60年前までみこし巡行があった。かつては「神明社」(桜山)の本みこしが例大祭に合わせ巡行。市内でもひときわ賑わいを見せたが、時代の移り変わりとともに若者離れが加速し、徐々に衰退。子どもみこしもいつからか失われていったという。「自分が子どもの頃担いだみこしを復活させたい」。そんな思いを抱いていた中、沼間小学校学童クラブから「担いでくれるなら」と寄贈の打診があった。神明社で御霊を入れ、この日行われた納涼祭に合わせて実現。細川会長は「感無量。地域の活性化にも繋がること。将来的に大人のみこしもやれたら」と期待を寄せた。
「将来は大人の巡行も」
「地域のみこしを復活させたい」。その機運は若手の間でも高まりつつある。神明社氏子会の弘埜良彦さん(38)もこの日の巡行に参加した一人だ。
10数年前、みこしの復活を目指す団体「桜山」を立ち上げた。当初は数人だった有志も現在は同世代を中心に20人近くに賛同者が増えたといい、「いずれは他地域にも認めてもらえる団体にしていきたい」と青写真を描く。
ただ、神社のみこしは老朽化しており、修繕するか新調する必要がある。継続的に巡行ができる担ぎ手の確保も欠かせない。これまで実現に向けて奔走してきたが、決定打に欠ける状況が続いていた。そんな折に飛び込んできたのが、この日の子どもみこし。当初は急きょの開催に参加者が集まるか不安も抱えていたが、当日は大人も含めて50人ほどが参加し、地域は空白期間を感じさせないほどの熱気に包まれた。「今日の経験があれば大人になってもやりたいと思ってもらえるはず。鍵はここにあった」と手ごたえをかみ締めた。
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