元逗子市教育長で児童文学作家の野村昇司さん(84)=逗子=が明治以降、逗子で実際にあった出来事をもとにした創作民話を冊子にまとめた。横須賀線開通時の山火事などを題材にした3作品を収録。野村さんは「忘れられつつある出来事を後世に伝えるきっかけになれば」と話している。
野村さんが代表を務める「ちょっと昔の逗子のお話の会」が5年前に映像化した作品を再編。地域の子どもたちに気軽に手に取ってもらえるよう、冊子としてまとめ直した。
横須賀線の開通秘話を題材にした「カブトムシのお化けが走る」は、蒸気機関車の煙突から出る火の粉で山火事が起き、狸の兄弟が棲家を追われる話を描いた。登場人物は架空だが、山火事は明治35年1月、現在の山の根付近で実際にあったものだ。「きっと動物たちも逃げただろう」。当時の新聞記事を参考に、物語として想像を膨らませた。
冊子にはバスの営業開始で人力車が衰退を辿る「三吉と乗り合いバス」、かつて小坪で子守唄として歌われたという「いかとり唄」も収録。挿絵は小坪在住の切り絵画家、森田美智子さんが手掛けた。
会の語り部としても活動している野村さん。「忘れられがちな出来事の中にも人々の営みがあり、それが新時代の礎になった。次代を担う子どもたちに暮らすまちの歴史を知るきっかけにしてほしい」と話した。
B5判28頁。市立図書館や市内小学校に寄贈するほか、池田通りの椿書房でも1部500円で販売する。問合せは事務局、山田さん【電話】046・871・9674
28日に講演も
野村さんによる講演「終戦前後の逗子の子どもたち」が8月28日(月)、逗子文化プラザさざなみホールで開かれる。午前10時から11時30分。「ずし平和デー」の参加企画。参加費500円、定員150人。
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