丸太からアウトリガーカヌー作りに挑戦している 豊岡 誠司さん 逗子市在住 54歳
遊び心でつなぐ文化
○…南伊豆の山から切り出された1トンもあるセコイアの大木から、アウトリガー・カヌーを仲間とともに作っている。今年3月からチェーンソーやノコを駆使して形を整え、防水塗装作業も一段落。あす、11月2日に三浦市の矢作海岸で進水式を行う予定だ。「まだ完成ではないが、ようやくここまで来ました」と充実した表情で語る。
○…ウインドサーフィンを会社員になってから始め、自然の力を全身で感じるスポーツの魅力を知った。カヌーでの川下りやスノーカイト、スタンド・アップ・パドルボード(SUP)などに熱中すると、カヤックと帆を組み合わせ、カイトを制作し、SUPボードを木材から組み立てた。のめり込むと、なんでも自分で作るタイプで、その”作品”は多岐にわたる。忙しい日々のなか、「自然を舞台に遊ぶことで何よりの気分転換になる」
○…転勤が多い会社勤めだが、10年ほど前、「憧れの地」であった逗子に移り住んだ。ちょうどその頃、ウッドカヤックを作っている人がいることに衝撃を受けた。「自分もやりたい」と鎌倉の工房に4カ月間通い、試行錯誤しながら完成させた。「海に出たときの感動は忘れない」。今でも、そのカヤックは愛用しているという。
○…2007年から、木材でできたボートを作る愛好者が集まる(WBBM=Wooden Boat Builders Meeting)に参加。2年前からは主催者として、毎年春と秋、三浦市の矢作海岸を会場に、会員同士の交流や情報交換、木でできた船を作る素晴らしさを伝えている。「先人たちの文化を継承するとか、そんな高尚なことは考えていない。面白いからやっているんです」と笑いながら話すが、楽しさを追求するその姿勢こそ、文化を次世代に繋ぐきっかけになる。
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