海のほとり美術館を制作する 松澤 有子さん 逗子市在住
日々の営みの延長線に
○…2018年の逗子アートフェスティバルから発表していた大型インスタレーション「ぼくたちのうたがきこえますか」。その集大成となる展示「海のほとり美術館」の制作に取り組む。延べ3千人が関わってきた作品の完成を誰よりも楽しみにしている。
○…逗子生まれ逗子育ち。大学卒業後、思い立ってオーストラリアへ渡り、語学学校を経て州立専門学校で版画を学んだ。そこで制作した作品が初めて売れた時に、「自分が作ったものに対価を払ってくれたことが新鮮で嬉しかった」と、本格的にアートの世界へ。「他のこともやりなさい」というオージー流の指導でインスタレーションに取り組み、現地で盛んなラグビーに着目。200足のソックスを借りてグラウンドや公園、海岸に立体的に設置する作品を発表し好評を得た。内向的だったアートに対する姿勢が外に向いた瞬間だった。
○…シドニー大学大学院美術学部を卒業し、現地でアーティストとして活躍。北欧などでの制作活動を経て16年に帰国。その後、2人の子どもを育てながら各地で制作・展示を行ってきた。いずれも完成まで気の遠くなるような作業を伴うが、協力者がだんだんと集まり、人の縁が繋がって大きなパワーが生まれるのを何度も見てきた。「新潟の限界集落でおばあさんたちと現代アートを作ったことも」と笑顔で振り返る。
○…今回の会場は小坪飯島公園プール。日常の延長線上に出現するアート空間は、生活に密接に関わるプラごみが原料。膨大な作業時間はボランティアの日々の営みから紡ぎだされている。時間や想い、繋がりといった目に見えない観念は糸として立ち現われ、それを束ねた作品がもうすぐ、生まれようとしている。
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