ニホンミツバチの養蜂を通じ、葉山の環境改善に取り組む 金子 昌司さん 葉山町堀内在住 53歳
葉山の自然と人に恩返し
○…バーテンダーでソムリエ、そしてニホンミツバチの養蜂家。異色の経歴の持ち主は今、葉山の自然環境をより良くしたいと燃えている。先月、葉山まちづくり協会が主催した講座では、ハチの生態から人類との関わり、里山が直面する危機などについて話し、参加者は聞き入っていた。「葉山は緑が豊かという人は多いが、山に入ってみると下草がはびこって生き物も少ない。かつての豊かな生態系を取り戻したい」
○…横浜市出身。銀座で修業し、32才の時に独立。横浜の馬車道で20年にわたって店を構え、横浜を代表するバーへと育て上げた。転機となったのは全身が激痛に襲われる線維筋痛症と潰瘍性大腸炎という2つの難病の発症したことだった。どちらも原因不明で根本的な治療はなく、苦しむ時期が続いた。6年前、療養のために選んだのは、山登りやヨットで何度も来ていた葉山だった。
○…横浜に住んでいた頃に、ミツバチに興味を持った。生来の凝り性で専門書を読み漁り、九州の養蜂家の指南も受け、自宅ベランダで養蜂を始めた。移り住んでからも、すぐに長柄の谷戸で養蜂を開始した。育てるのは在来種のニホンミツバチのみ。セイヨウミツバチに比べて環境の変化に敏感で採蜜量も少ないが、「もともとあった生態系の復活が一番の目的。それに、献身的で社会的な生態に魅了されます。ペットとしても可愛いですよ」と笑う。
○…蜂蜜を使ったカクテルの開発や、谷戸全体を「蜜源ガーデン」にするなど、様々なアイデアを温めている。病気は寛解状態で落ち着いていており、葉山での生活や出会う人々、そして情熱を傾ける養蜂の存在あってこそだという。「自分なりの方法で葉山の自然と人に恩返ししていきたい」と笑顔で語った。
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