漆造形作家として活躍する 横井 ゆうこさん 葉山町堀内在住 52歳
漆の可能性切り開く
○…古来から日本人の生活に密着してきた漆。「生命力が溢れている」と語るこの素材を使った作品を12月4日から、葉山町のまちづくり館で展示する。漆を紙にしみこませて焼くなど、独自の手法で表現の可能性に切り込んだ。「この機会に多くの人に見ていただければ」と語る。
○…愛知県出身。モノづくりに憧れて京都市立芸術大学に入学し、「漆聖(しっせい)」と呼ばれた人間国宝・松田権六の作品を見たことが大きな転機となった。「卵の殻で白を表現するなど、新鮮で美しかった。これはすごい仕事だと感動しました」と振り返る。その後、様々な表現方法を取り入れてきたが、漆という軸はぶれることがなかった。
○…卒業後は地元でアートスクールを主宰。1歳半から70歳代まで、幅広い年齢層にアートの楽しさを教えていた。並行して制作も続けていたが、「もっと自分の作品作りに打ち込みたい」と一念発起。鎌倉に移住を検討していたところ、観光客が多く条件も合わなかったため、葉山を選んだという。「それまでこの街のことは何も知らなかったけれど、選んで正解でした。豊かな自然や風習、信仰心などが昔の人たちが大切にしてきたことがたくさん残っているところが好きです」
○…現在は休止しているものの、自宅の一部を開放して金継ぎと漆の教室を開いていたほか、葉山芸術祭に参加したことも。最近ではチョコレートバイヤーや臨床美術士など、ジャンルを超えた人々とコラボレーションし、町内外で様々なワークショップを開いている。「アートに触れることで意識や感覚が変化し、いつもの街の風景が違って見えることがある。漆造形を通じて、言葉ではないコミュニケーションの大切さを伝えていけたら」と笑顔で語った。
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