特別養護老人ホーム鵠生園 初の津波避難訓練 第一波まで約5分 建物2階に職員が誘導
東日本大震災から4カ月が経過した12日、県内で最も海に近い特別養護老人ホーム「鵠生園(こうせいえん)」(藤沢市片瀬海岸・番場定孝理事長)で、デイサービス利用者を対象とした津波の避難訓練が行われた。同施設で津波を想定した訓練が行われるのは今回が初めて。
国道134号線沿いに位置する鵠生園は目の前に片瀬海岸東浜が広がり、建物は海抜約8mに位置する。これまでに火災などの避難訓練は年に数回行ってきたが、東日本大震災での被害を目の当たりにし、津波の避難訓練計画を立ててきたという。当日、番場理事長は施設利用者を前に「3月11日以降、職員らと協議を重ねてきた。今回が初の訓練だが、職員と一緒に逃げることを体験してもらいたい」と話した。
関東大震災クラスの地震が発生した場合、5分程度で津波が襲ってくることが予想されている。大津波警報が発令され、避難勧告が出されても同施設から指定避難場所の片瀬山まで誘導することは時間的にも難しいことから、建物2階部分までの避難を第一に行うこととした。「10mクラスの津波なら2階までいけば被害を免れることができる」と番場理事長は話す。
訓練では相模湾沖を震源とする震度6弱の揺れが40秒間続き、大津波警報が発令されることを想定。緊急地震速報発令直後は職員らが利用者に頭を保護する座布団を配布し、揺れと同時に「皆さん、落ち着いて」「近くの椅子に座るか、テーブルにつかまって下さい」と声をかけ続けた。その間、トイレなどの死角エリアや浴室などで、利用者の確認作業を行った。
大津波警報が発令されると2階に避難するため、車椅子利用者は職員2人で抱えて階段を上り、続いて介助歩行者が職員と、歩行自立者が避難を行った。
訓練後には職員、利用者がフロアに集合し、意見を交換、「職員の声が小さかった」「防災頭巾を用意してほしい」「定期的な訓練が大事」などの声が上がった。
番場理事長は「将来の安全をしっかり確保していきたい。今日の訓練はこれからの第一歩と考える」とし、今後も継続して訓練を行って津波の脅威に備えていくとした。
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