藤沢市内の園児、高齢、障害者の福祉法人、団体、施設などによる「災害対策における種別を超えたネットワークづくりについての勉強会」がこのほど初開催され、今月21日には各代表者によって、今後の組織づくりなどについて話し合われた。それぞれの専門分野の垣根を超え、災害時の福祉利用者の支援体制づくりに向けた動きは市内初。
東日本大震災後の混乱の中では、通常の避難施設での生活が困難な、いわゆる「災害時要援護者」への対応に関して人手や物資の不足など窮状が伝えられた。
藤沢市では災害時要援護者を約2万人と想定。これまでにも市内の各法人、団体などの単位では災害時対応の話し合いは持たれていたが、各専門分野を超えて市内全域に渡る取り組みは行われていなかった。
大災害が起こった時、市では要援護者の対応として、避難所での生活が困難な場合は、社会福祉施設や高齢者施設との受け入れ協定を結んでいる。しかし、実際にどのくらいの要援護者が集まるか不透明で、各施設、法人だけでは対応に限界がある。また、ケアする側の職員も被災者となる可能性もあるだけに、施設間の協力体制は欠かせないものとなる。
6法人、団体が「呼びかけ人」に
今回の勉強会は、社会福祉法人光友会の五十嵐紀子理事長、社会福祉法人上村鵠生会の番場定孝理事長、社会福祉法人高谷福祉会の桝居祐三理事長、神奈川県高齢協福祉施設連絡会の川瀬和一会長、藤沢市民間保育園設置法人代表者会の加藤隆次会長、藤沢障害福祉法人協議会の米村洋一会長の6人が「呼びかけ人」となり実現したもの。
当日は海老根靖典藤沢市長をはじめ、市内の16児童施設、41高齢者施設、21障害施設の合計78事業所から、代表や職員など約150人が集まった。
講演では陸前高田市出身で、被災地で支援活動を行った神明保育園保育士の大城由香さんら、現地入りした4人が壇上に上がり、現地での経験から、福祉施設らが互いに連携することの重要性について話した。
大切なのは顔見知りになること
呼びかけ人事務局の光友会の本谷守さんは「災害時に連携を、と言っても緊急時にいきなりやるのは難しい。日頃から異種間の現場同士が顔見知りになり、交流することが大切」と話す。
具体的にはこれから動いていくというが、「例えば身近なところで、施設のお祭りやイベント時にテントなど資材の貸し借りや、手伝ったりし合い、普段からの交流ができれば」と本谷さん。今回は災害対策を切り口にした取り組みではあるが、こうして手を取り合うことが地元の活性化にもつながる、とした。
今後、市内13地区のどこに事務局を置くのか、市とどう連携するのかなど、体制づくりに着手していくという。また、今回は包括支援センターも8地区が参加したが、全地区の参加を呼びかけていく。
本谷さんは「こうした取り組みは必要なものを自分たちでつくっていくことが重要。行政にも意見を上げていきたい」と話した。
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