氏子や地域有志の「手作り」で日吉神社を改修した同神社建設委員会の委員長 伊澤 和男さん 遠藤在住 71歳
「伝統」は地域のつながり
○…古くなった社殿の改修を求める声は40年以上前の父親たちの代からあったという。「近隣のお宮が次々に改修される中でうちだけそのままで。建て替えには資金の問題があったけど、じゃあボランティアでみんなでやってしまおうと、こういう話です」と目を細める。昨年5月の総会で建て替えが決まり、具体的に方針を示したのは9月。工事は10月から着手し、旧社殿を解体、生い茂っていた周辺の樹木を切り倒すことから始まった。
○…「日吉神社ってどこですか」。藤沢市の文化財ハイキングコース「菖蒲沢・遠藤コース」に含まれる同神社。自宅で庭いじりをしているとコースを歩く人によく質問された。「家の目の前なのですぐそこだと教えても、神社がどこかわかってもらえない。鳥居もなかったし、古くなった屋根にはビニールシートがかぶっていたしね」と苦笑い。子どもの頃には遊び場だった思い入れのある場所だけに、「ここに神社があるはずだけどなぁ」と首を傾げて去っていく通行人の姿を見ては寂しく思っていた。
○…作業した仲間の中には大工もいたが、基本的にはみんな素人。氏子や地域の有志が力を合わせた。鉄筋コンクリートの基礎打ちから、石垣の作成、社殿の建造、鳥居の新規設置など、神社改修のほぼ全てをボランティアの「手作り」で行った。「一人二人じゃ絶対に無理なこと。地域の力を感じました」と感慨深げ。「神社自体もそうだけど、地域の連帯、これが伝統ですよ」。
○…趣味は月に2回ほどコースに出るというゴルフ。また、友人と旅行に行くのも楽しみの一つだとか。改修の参考に日吉神社総本山の日吉大社(滋賀県)に行き、社殿の造作を見学した。「じっとしているより身体を動かすほうが性分に合ってるんでしょうね。気の合う仲間との時間が一番の楽しみ」と白い歯を見せた。