人生を変えた出会い 藤沢西高陸上部長距離ブロック
「よろしくお願いします」。最近、朝と夕方の大庭台墓園に、藤沢西高陸上部長距離ブロック部員の元気な声が響いている――。
部員数9人。1年生中心のチームは、学校グラウンドでの練習場所がなく隣の墓園内でその練習のほとんどを行っている。決して恵まれているといえない環境だが、大きな声であいさつし、朝は学校周辺を掃除する。練習に真剣に取り組む生徒たちの顔は輝いている。
転機となったのは、昨年9月に元陸上の強豪校で教えていた常磐信欽(しんすけ)コーチが指導者になったことだ。1年生でキャプテンの内田真織さんは「それまで指導者不在で練習はただこなすだけ。成果も上がらなかった」と振り返る。そんなチームに常磐コーチは着任早々「陸上に本気で取り組め!結果は必ず出してやる!」と発破をかけた。
「陸上だけでなく、人生が変わった」と内田さんはいう。練習はつらいが楽しいものにかわり、その成果は、記録更新という結果としてすぐに現れた。いつのまにか「俺たち、私たちでもできるかも」という期待感がチームに芽生えた。10月には、県高校駅伝地区予選で全員が自己新記録を出し大会出場権を獲得。県大会では、女子チームが西高最高記録で走りきった。「わずか数カ月でここまで競技力をあげられたのは先生のおかげ。生活面でも礼儀や謙虚さ、人に対する優しさや助け合いなど多くを学んだ」。陸上競技を通して、また大切な出会いから生徒は学び大きく成長している。
常磐コーチは、今年2月末で契約が切れ陸上部を去る。「私たちには先生が必要」と生徒たち。寂しさや感謝の気持ちの詰まった複雑な想いを胸に、前を向いて走り続ける。
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