県総合文化祭の文芸部門で「短歌」「小説」の2部門で最優秀賞に輝いた 平山 歩実さん 藤沢清流高校 3年
好きの気持ち 花開き2冠
○…「第31回高校文芸コンクール」でただ一人、2部門で最優秀賞を受賞。「知らせを受けた時は信じられなくて、夢じゃないかと思った」と振り返る。短歌作品では、インターネットを題材に仮想現実での他者との繋がりの曖昧さや、存在への問いかけを鮮やかに切り取ってみせた。また小説「ビスクドール」は、人の魂が人形に乗り移るという幻想的な世界観で、女性の情念を軸に恋愛とミステリー、ホラーなど多彩な要素をまとめ、原稿用紙30枚で書き切った力作だ。
○…藤沢清流高校で文芸部の部長を務める。「昔から本が好きで、読むうちに自分でも書けるかなと思った」。中学3年で友人と自作の短編小説を交換し、書く楽しさを知ったという。同コンクールでの受賞は今回が初めて。「高校最後の年に、こんなに立派な賞をもらえてとてもうれしい」と照れ笑いを見せ、「今後も書き続けてネットなどで発表していけたら」と話す。
○…鎌倉市在住。小学生の頃からトランペットを習い、ジャズのビッグバンドも経験。バンドでは指導者から俳句を教わる機会もあり、「俳句や歌を楽しむきっかけになった」と語る。中学では剣道部で汗を流し、清流高でも文芸部のほか、吹奏楽部と剣道部に所属する「三足のわらじ」。好きな作家は桜庭一樹や乙一などで、物憂げで繊細な雰囲気の作品が好み。「女性の心理の描写がすごくいい」という桜庭一樹は、一番のお気に入りだ。
○…音楽やアニメ、ファッションなど興味の幅は広い。特に大好きな音楽ユニット「アリプロジェクト」を語る口調には熱がこもる。4月からは多摩大学に進学。英語を中心に学び、将来は「ネット通販などの仕事で、海外の現代日本文化ファンが作品を購入する手助けをしたい」という。好きなものを語る目の輝きに、様々な文化や作品を取り込み自作に昇華する、表現者の顔を見た。