4月5日に開校式を行う湘南看護専門学校の副校長を務める 土屋世都子(せつこ)さん 62歳
秘めた情熱で導く
○…藤沢市を含む湘南東部地域に不足する看護師を育てようと、大庭に建設された湘南看護専門学校。同校の運営を取り仕切る副校長を務める。これまで開校に向け、行政や地域の人々の協力を得ながら準備を進めてきた。生徒募集が昨年11月からと出遅れはあったが、晴れて40人の新入生を迎え入れる。「地域に貢献できる人材を育成できるよう力を尽くしたい」。言葉の響きには固い決意を感じる。
○…26歳で看護師を育てる教師の道を選んだ。当時、自身も看護師として働く中で、その社会的地位や評価がとても低いと感じることがあった。どうすれば変えられるのかと自問し、出た答えが「教育の大切さ」だった。意を決して教師を目指し学校で学び始めるが、その日々はとても辛いものだったとか。「自分の考えの甘さ、若い看護師を育てる難しさを思い知らされた」。泣きながら勉強したことも。「私の人生の中でもあの時が一番勉強した」と懐かしむ。その後、地元神奈川の学校から、広島、福島などの看護学校で経験を積んだ。
○…北海道生まれ。中学1年のときに父親の転勤で横須賀へ移り住んだ。「青函連絡船に乗って。船底の安い席だった」とか。3人兄弟の長女で、幼いときから弱い立場の人を無視できない、そんな性格だった。小学校6年生のとき、学校の図書館で読んだ「ナイチンゲール」の伝記に感動し看護師を志した。
○…生徒に伝えたい気持ちをナイチンゲールの言葉「天職としての看護」で表す。「プロとして、日々勉強していかなければ、専門家としての仕事はできない」ときっぱり。教師は、自身にとってまさに天職なのだろう。「楽しくて辞められない」と微笑む。「教師の情熱に生徒は必ず応えてくれる」。穏やかな表情とは正反対の熱い思いで、新たな学校をまとめ上げる。横須賀市在住。