「秘密基地」で竹炭づくり シニアの生きがいの場に
壮大な富士山を一望する市内打戻の里山―。溌剌とした表情のシニアが集い、いきいきと竹炭づくりに励む「秘密基地」がある。
その名も「金子牧場竹炭くらぶ」(吉田敏明代表)。2004年に金子栄昭さんと古屋昌壽さんが発足した市民サークルだ。金子さんが所有する山林を拠点に、竹伐採や竹炭づくりによる環境保全のほか、一般市民への竹炭製品提供を通じて、健康的な生活を提案している。会員54人のうち、その多くが定年退職後のシニア世代。週1回の活動日には、平均20人が竹炭づくりに情熱を燃やしている。
サークルと言えど、竹炭の品質にこだわる姿勢や、本格的な設備は企業さながらだ。竹林1650坪、300坪の敷地には、炭焼き工場(炭窯3基、燻煙窯、竹酢液蒸留装置)をはじめ、炊事場、囲炉裏付き休憩所「創栄庵」、富士山見晴し台まで揃う。「大半が会員の手づくり。知識も技術も無いが、体力とやる気だけはあるからね」と笑い合う。
手探りで始めた竹炭づくりだが、ノウハウ習得のために山梨県や南足柄市へ訪れ、技術向上に努めてきた。
特に炭焼きは失敗が絶えず、竹にまんべんなく火を通すのに何年も試行錯誤したという。ドラム缶に始まった炭窯は、熱効率が良く900℃まで上昇する耐火レンガへと改良。竹の入れ方も横から縦へと変遷を辿った。「良質な竹炭は硬く、叩くとキンキンと高く澄んだ音が鳴る。苦労の甲斐もあって品質には定評がある」と笑う。「体力勝負で、きついことも多いが、気の置けない仲間との作業が楽しい。生きがいだね」。今日も里山には、笑い声とともに炭窯から煙が上がる。
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