「女坂に花桃を育てる会」の代表として4月5日に女坂花桃祭りを開催する 尾上 稔さん 用田在住 71歳
ふるさとを花桃の名所に
○…ピンクや紅白に咲き誇る花桃に魅せられたのは、25年前のこと。「妻がもらってきた苗木を庭先に植えたら、とてもきれいだった。近所の人に、この辺りに植えたらどうかと話したら、それは良いねって」。当時、不法投棄や山火事が頻発し、不安を抱えていただけに、協力してくれる住民も多かった。「花桃を植えて、きれいにしたらゴミに対する意識が変わるはず」。コツコツと植樹を進め、今では花桃400本をはじめ、菜の花、ヒマワリ、ざる菊と四季折々の花が咲き誇る。
○…女坂を散策してもらえる花桃の里にしよう―。いつしか夢はふくらみ、2011年には「女坂に花桃を育てる会」を結成し、市へ散策路の設置を求めた。200本もの花桃が咲き誇った開所式は今でも忘れられない。「会員で行う植栽や剪定、ゴミ拾いは交流を深めるきっかけにもなる。災害時の助け合いにもつながるはず」と目尻を下げる。
○…生まれも育ちも用田。御所見中時代、課題で作った本棚が褒められたのをきっかけに大工の道へ。「先生におだてられて、その気になった」と照れ笑い。持ち前のセンスの良さで18歳には一軒家を建てるほどの腕前に。24歳での独立以来、尾上工務店の顔として、71歳の今もなお現役として汗を流す。「天井裏とか骨組みとか、見えない所まできれいな仕事をすることが信条。きれいな仕事は時が経っても狂いがないからね」と職人の顔をのぞかせる。
○…趣味は意外にもオートバイ。ワイルドなハーレーを乗りこなし、北海道には18回も訪れている。「バイクはどこでも行けるし、風を切って大自然を体感できる所が魅力」と瞳を輝かせる。そんな姿から「元気に働いて遊んで、夢を持っている人」として公民館の催しで講師を務めたことも。「バイクと花桃の話となったら、いくら時間があっても足りない」と充実した日々を送るが、目下の夢は、ふるさとを花の名所として後世に残すことだけだ。