政府が4月29日に発表した、春の叙勲で旭日単光章を受章した 藤田佳也(よしなり)さん 本鵠沼在住 81歳
発展に尽くすテニス人生
○…2015年春の叙勲で旭日単光章(スポーツ振興功労)を受章した。1976年に藤沢市テニス協会の設立に携わり、大会運営や技術指導などで中心となって市テニス界の発展に尽くしてきた。神奈川県テニス協会でも副会長を10年務め、要職を歴任した。「私個人ではなく、いろいろなところで活躍しているスポーツ関係者の代表として受けたつもり。テニスを始めて70年がたつ。何か認められることはありがたいこと」と目を細める。
○…大阪府の生まれ。人生を捧げたテニスとの出会いは、旧制中学1年の秋。学校で硬式テニス部員募集の貼り紙を見て、「面白そう」と軽い気持ちで入部を決めた。両親が軟式テニスをやっていたことで、競技に親しみはあったが硬式ボールは見たこともないほど珍しいものだった。時は終戦まもなく。「練習は授業が終わって日が暮れるまで、ボールは貴重なもので少なく、とにかく走らされた」と振り返る。それでもテニスに魅了され大学まで競技にのめりこんだ。気さくな人柄は先輩後輩にも慕われ「テニスを通じてたくさんの良い仲間と出会えた」という。
○…卒業後は阪急電鉄に入社。東京の関連会社に異動してからは、そんな仲間たちから声をかけられ、旧防衛庁テニス部や警察大学校でコーチを務めたことも。請われて藤沢のテニスクラブの支配人となったのが40歳のころ。全日本につながる藤沢選手権の創設にも力を注いだ。
○…現在は、社会人のころに知り合った妻と2人暮らし。「普通のサラリーマンから、こんなテニスに没頭した生活を送るとは思わなかった。長いようで短かったが、やりたいことをさせてもらった」と妻への感謝の気持ちを表す。5年ほど前まで大会にも出場し、80歳を過ぎた今でもコートに立つことがあるという。「テニスは、何歳になってもできる。まだまだ楽しみがいっぱい」と生涯現役を宣言した。