11月21日に50周年記念祝賀会を行う藤沢フォトクラブの会長を務める 中嶋 稔さん 藤沢在住 60歳
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○…1965年、藤沢駅南口のカメラ店に通う常連客たちが立ち上げた「藤沢フォトクラブ」。当時白黒だったフィルムはフルカラーになり、さらにデジカメへと進化するという時代の移り変わりの中、11代目会長として節目の年を迎えた。「先輩たちが築き上げた伝統を大事にしながら、新たな技術や表現にもチャレンジしていきたい」と意欲を燃やす。
○…発足当初は会員同士の作品講評会や外部講師の指導などが活動の中心だったという。継続的な活動が実績となり、次第に市民まつりや団体の式典、また県内で開かれた国体などをフィルムに収める撮影役を担うようになっていった。「クラブの歴史は、藤沢の街とともに歩んできた軌跡。今後も地域に根差した文化活動の一端を担いたい」
○…写真に魅せられた発端は、元外資系企業のエンジニアとして欧米やアジア諸国を回る中で持ち歩いた、1台のコンパクトカメラ。仕事で訪れる国のさまざまな風景をレンズで切り取るうちにのめりこんだ。やがて一眼レフに持ち替え、フィルムを20本も用意して出張を楽しみにするようになった。元々ゴルフ好きだったこともあり、「マスターズのコースで世界のトッププロたちの練習風景を撮った時には、それはもう喜びもひとしおだった」と満足気に笑う。
○…新潟県出身で、就職を機に藤沢へ。「日本海側と比べて湘南は冬の空がきれい。撮影意欲も刺激される」と愛着を見せる。現在は経験と英語力を生かし、市内メーカーで技術資料翻訳の仕事に携わる。仕事と撮影、同クラブ会長のほか、市文化団体連合会の副会長も兼務する生活は「もちろん大変」と苦笑い。活動のモチベーションとして「人のため、地域への貢献のため」を挙げるも、実は最近の一番の楽しみは4歳と1歳の孫たちを撮ること。街の移り変わりを写してきたファインダーで、次は新たな世代の成長を見つめる。