江の島をテーマに切手展を開催する「湘南郵趣の会」会長を務める 太田 隆啓(たかひろ)さん 藤沢在住 79歳
郵趣の魅力 次世代へ
○…国内外の切手や絵葉書などを収集する「郵趣」に親しみ、郵便文化の歴史研究にも携わっている。現在は、湘南地区の切手愛好家たちからなる「湘南郵趣の会」で会長を務める。今月、江の島を題材にした郵趣品の展示会を開催するにあたり、「江の島は多くの切手や絵葉書などに描かれており、かなり郵便との関わりが深い。郵趣品を通じ、地域の歴史を楽しんでほしい」と語る。
○…今年で創立70周年を迎えた国内最大の郵趣組織(公財)日本郵趣協会にも所属しており、市内で唯一の評議員として郵趣の普及にも力を注ぐ。切手の魅力は「デザインの良さ」と即答。「各国の一流デザイナーが描いていて、絵柄が非常に美しい。それに、それぞれの国の名所や文化、歴史などを知るきっかけにもなるため、特に次世代を担う若い人にこの面白さを知ってほしい」
○…出身は長野県松本市。切手収集のきっかけは、幼少期に開いた祖父の切手帳だった。精緻を極めた美しい絵柄や多様なデザインに出合い、心惹かれた。ただ「当時の小遣いではとても集められなかった。本格的に収集を始めたのは子育てが一段落した40代から」と話す。次第に海外の郵趣品にも興味が広がり、富士フイルム勤務時代、十数回出張した米国で切手などを収集。いまでは自宅に「数え切れないほど」の郵趣品を大切に保管している。家庭では娘2人を育て上げたほか、体を鍛えるため15年以上にわたり太極拳を続けるなど、健康管理に余念がない。
○…以前は全国的に流行した切手収集。だが「近年はインターネットの普及で、大半の人が手紙よりEメールなどを使う。郵趣を楽しむ人が少なくなった」と小さく肩を落とす。「4年後の東京五輪開催に向け今後、特別な記念切手も沢山発行される」。郵趣品の魅力を伝え続け、多くの人がその価値に再び目を開く日を願っている。