3月31日で藤沢市文書館を定年退職する中島淳一館長が区切りとして、書籍「湘南のお地蔵さま」を出版した。これまで独自で続けてきた調査をもとに、各地の地蔵の特徴や歴史的背景などを紹介している。
同書は、中島さんが情報紙「江ノ電沿線新聞」のコーナーとして2000年から4年間連載した「湘南のお地蔵さま」と、今年1月から再開した「続・湘南のお地蔵さま」の内容をもとに編集したもの。中島さんの自宅近くにある大庭の舟地蔵を皮切りに、藤沢や鎌倉などに現存する地蔵49種類を独自の観点も交えて掲載している。携帯しやすいサイズで105ページ。見開きで1種類の地蔵を写真付きで紹介、文字を大きくし、アクセス方法も記すなど工夫を施した。
中島さんは音楽活動をしていた高校時代、仏像をモチーフにした絵が描かれていたロックバンド「フラワー・トラベリン・バンド」のLPジャケットを見て、仏像へ興味を抱いたという。当時の衝撃を「それまでは古臭いイメージしかなかった仏像がその瞬間、とても新鮮に見えた」と振り返る。以後、図像学的好奇心から仏像などを独学で調べ始めた。市役所に入庁後、1980年代を中心に行われた市の文化財総合調査に調査員として参加。そうした経験を重ねる中で、地元住民が供物や千羽鶴を持ち寄るなど、古くから庶民に愛されてきた地蔵への思いを深めていった。
中島さんは「お地蔵さまはみな優しいお顔をしており、どれも地域特有。お地蔵さまが地域の人々の心の中に今も生きていらっしゃることを、この本で感じてもらい、少しでも現代版巡礼の旅のお役に立てれば」と話した。
同書はジュンク堂藤沢店や有隣堂藤沢店などで購入可能。本体価格は741円。発行所は江ノ電沿線新聞社。
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