鵠沼松が岡の建築家・前田忠厚さん(52)が、鵠沼地区の新旧の景観をまとめた小冊子『まちの記憶 鵠沼を知って住む・つくる・愉しむ』を自費で刊行した。
A5版・34頁の冊子は、6章で構成。先人が明治から昭和に撮影した写真で鵠沼の歴史を振り返るほか、まち並みの構成要素、まちづくりにおける建築的手法、住民へのインタビューなどを通じて、鵠沼の文化や風土を紹介している。
「原風景を残したい」
鵠沼で生まれ育った前田さんは、湘南学園を卒業後、武蔵野美術大の建築学科へ進学。1980・90年代の鵠沼には、500坪を超える広さの邸宅や、敷地を囲む玉石積みと竹垣、和風・洋風の門、松などの樹木に被われた通り、砂利道といった「鵠沼らしい佇まい」や鵠沼の原風景が多くあった。それが小分けにされて分譲されていく様を見て、寂しさを感じたという。
90年には大学院の修士論文制作のために、鵠沼の737カ所で景観調査を実施。「後の人が見て役立つ資料を作りなさい」という教授のアドバイスをもとに、建築や都市計画の観点から撮り歩いた。その後も2006年、10年、16年に同ポイントでの撮影を行い、まち並みを記録し続けてきた。過去に3回ほど鵠沼郷土資料展示室の企画展で、街の変遷を紹介したこともある。
今回は「自然とともに風情を楽しみながら住まう、共通の思いを残しておきたい」と冊子制作に至った。
専門家ならではの提案も
冊子後半では、建築家ならではの観点でイラストや写真を交えながら「鵠沼らしい」外構や土地の活用方法を提案している。「鵠沼には別荘地時代から先人たちが受け継いできた日本的な情緒や佇まいがある。この冊子を通じて自分なりの鵠沼について思いを巡らせてもらえればうれしい。松を1本植えるとか、植栽を増やすなどの工夫でずいぶん鵠沼の風情が出るはず」
冊子は4月1日(日)から同展示室(鵠沼市民センター内/午前10時から午後4時・月曜休館)で閲覧・購入(300円)できる。
問い合わせは、同室【電話】0466・33・2001へ。
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