藤沢市俳句協会初の女性会長に就任した 山田 貴世さん 本藤沢在住 76歳
和をもって貴しとなす
○…創立59年目、俳句芸能を通じ市民文化向上に努めている藤沢市俳句協会。その7代目であり、初の女性会長に選ばれた。協会は「結社」と呼ばれる俳句グループが複数集い組織されている。会員数は約240人。舵取り役を務めるに当たり、「和を以て貴しとなす。結束力を高めて新しい方向へ進んでいきたい」と個性豊かな会員をまとめていく。
〇…俳句歴は50年ほど。藤沢では結社「波」に所属し、毎月発行する雑誌の編集長を20年以上、2年前から「主宰」を務めている。今でも活動は精力的で、複数のサークルで講師として教え、月の半分は句会に出かけるほど。「17文字という少ない言葉の中で、ひとつの宇宙を表現する。男女も貧富の差も関係なくみんなが同列に表現できる」と魅力を語る。
〇…生まれは静岡県静岡市。好奇心が旺盛で、自然が好きな子どもだった。20代前半で結婚。子育てに忙しい普通の主婦だったが、「俳句を作ってみませんか」と友人に誘われ興味を持った。句集に掲載されている句の意味や読み方も分からないずぶの素人だったが、作ってみると短い言葉で完結に言い表す表現に魅了された。「自然が好きなこと、さっぱりしていて楽天的な性格も俳句という表現にあっているのかも」と微笑む。
〇…「何げなく束ねし髪や夏隣(なつどなり)」―。藤沢に移り住み間もないころに詠んだ句が思い出深い。「波」の創始者である青木泰夫さんに褒められ、それから句会や吟行会などへ積極的に参加するきっかけになった。「俳句は人生や心を豊かにしてくれた」。今はその知識を広め教える役割を担う。「女だから特別なことができるわけじゃない。皆さんと協力して、多くの人に俳句の魅力を伝えたい」と目を輝かせた。