日々高品質を追い求めて
○…冬の室内をピンクや白で華やかに彩り、羽をたたんだ蝶を思わせる可憐な花――。県内上位13件の生産農家から初の1位に輝いた。さらに市内では2年連続、最高位の「優等」を受賞。県内でも広い面積を誇る宮澤園芸は7つのビニールハウスで約100種類、1万5千鉢を栽培管理する。それだけの収容性を持ちながらも、まとまりがあり形が均一にそろっている品質の高さが評価された。「一度は取りたかった賞。受賞したことに奢らず、今後もより一層高品質なものを作れるよう精進したい」と話す。
○…1970年から藤沢でシクラメンの栽培を続けている宮澤園芸の2代目で、幼少期から花々に囲まれて育った。学生時代は花に興味を持たず、バスケットボールに打ち込んだが、高校生の進路選択の時に「植物に関わっていこう」と農業大学への進学を決めた。卒業後は2年間、愛知県の大きな農家に研修に行き、知識を増やし技術を磨き戻ってきた。「藤沢は海風のおかげか風通しがよく、もちが良いものが育つ。育てる環境に向いているのかもしれない」と生まれ育った故郷を誇りに思う。
○…物事を計画的に進める性格で「学生の時も宿題やテスト勉強を逆算して考えてしっかり終わらせる子どもだった」と振り返る。根のはりを見極めながら、陽射しや温度、風通し、肥料などありとあらゆるものを調整して1・2年後の姿を見据えながら綿密な計画を立てる適期適作の栽培に活かされている。
○…生き物を相手とする仕事だけに苦労は絶えない。一人で早朝4時頃から約9時間水やりをしたこともあったとか。「手抜きをすると、すぐ影響がでる。でもそれがやりがい」。そう話す顔は自慢の息子を語る父親のようでもあった。