超高齢社会にあって、限られた医療資源で安心できる生活を守るために、地域の医療提供体制が再編しつつある。厚生労働省を中心に、これまでの「病院完結型」医療から、病気と共存しながら住み慣れた地域や自宅での生活を地域全体で支える「地域完結型」医療への転換が進められている。公的病院である藤沢市民病院では、昨年から、急性期医療の特化、かかりつけ医との連携強化など、本格的な取り組みを行っている。
入院期間10日以内に
地域完結型医療には医療機関の役割分担の明確化と連携が求められている。同院は、専門的な診療や特殊な検査などの役割を担う急性期医療に特化するため、入院期間を10日以内に設定。そのため、治療や検査の経過や入院中のスケジュールを示す入院診療計画書「クリニカルパス」を導入し、一部診療科で始めている。診療過程を標準化し入院日数の短縮につなげていきたい考えで、早期の家庭復帰・社会復帰の実現を目指している。
入院期間が短いため、患者は地域のクリニックや診療所、または介護施設などへ移動が求められるため地域でのネットワークが重要だ。
同院では、かかりつけ医や診療所から紹介を受け、治療後には逆に紹介する連携を強化しており、昨年度は紹介率が80・8%、逆紹介率は82・3%。
また、患者やその家族に医療連携の方針を知ってもらおうと、外来待合室にポスターを掲示するなど啓発を行っている。
常田康夫院長は「高度で専門的な医療の提供に特化し、質の高い医療を提供しながら、連携を進め地域全体で患者さんを支えられる努力をしていきたい」と抱負を語った。
顔の見える関係へ
藤沢市では、65歳以上の高齢者人口が2025年に26・0%、35年には30・7%になると見込んでいる。急増する高齢者を支えていく仕組みとして進んでいるのが「地域包括ケアシステム」づくりだ。住み慣れた地域で最期まで暮らせるように、医療だけでなく介護、予防、生活支援、住まいの5つを一体にした仕組みで、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる25年を目途に進んでいる。今までこの5つは縦割りで成長してきたが、システムの構築には、横のつながりが重要になる。
市では、4年ほど前から「顔の見える関係づくり」を進めようと、医療や介護、福祉の従事者らが集まり懇談会や研修会を開き交流を図っている。また、昨年末から、新しい「地域ケア会議」が始まり、高齢者本人や地域の民生児童委員、自治会長、行政職員らも交えて、個別のケースや地域課題の検討を行う会議が始まっている。
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