獺郷の社会福祉法人光友会(五十嵐紀子理事長)が発行する冊子「かわうそ文芸」が、第67号を最後に休刊する。
1986年8月に創刊。同法人が運営する湘南希望の郷の開所に合わせての発行だった。当時県内では、身体に障害があり介護を必要とする人が生活する施設を民間が運営のするのは珍しく、「地域とのつながりを作りたいとの思いで始まった」と創刊から編集長を務めた職員の本谷守さんは話す。
編集には、当時の入居者である故・遠藤吉二さんも携わった。遠藤さんは元教師で、脊椎損傷で首から下が不自由になり、授産施設で学んだ活版印刷の技術を生かし手伝っていた。冊子には、入居者が作った詩のほか、職員やゆかりのある人、地域住民の寄稿などが掲載されている。作品のテーマはさまざまだが、自身の戦争体験なども寄せられていた。サイズはB5版で、最終号となった67号は40ページにも及ぶ。「原稿のあつまりもよく作りやすかった」と話すが、500部発行するための経費は協賛広告やバザーなどでなんとか賄ってきた。
創刊から33年、寄稿者も高齢化したことから一時は廃刊も検討されたが、職員の澤野亮介さんらが、「入居者の作品は、我々にしか届けられない貴重なもの。読み応えのある寄稿もあり何かしら続けられれば」との思いから、休刊とした。澤野さんは「地域とのつながりというコンセプトをそのままに、今後は30〜40代にも届くよう展開できれば」と話す。かわうそ文芸は、市内各図書館などで配布している。
かわうそ文芸
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