農業人口の減少や従事者の高齢化、後継者の不足など、現在日本の農業を取り巻く環境は様々な課題を抱えている。そのような中、収穫量や環境、労働時間などをシステムで管理・データ化し、より効率的にトマトを生産販売している農園がある。
農業とITを組み合わせ、業界に新たな風を吹かせているのは(株)井出トマト農園=宮原=の代表取締役・井出寿利さん(38)。昨年には農業経営を支援する生産性管理システム「AGRIOS(アグリオーエス)生産性管理」を開発し、従業員の労働や各種データを一括管理。56人の従業員で、年間約4万本のトマトを栽培している。
同農園では、7棟のハウスを設け、大玉からミニトマトまで13品種を栽培。1年中安定して生産するために育苗システム「苗テラス」を用いて、温度や湿度、二酸化炭素濃度、光、肥料濃度をコントロールし、最適な環境を整えている。
昨年開発した「AGRIOS生産性管理」は農業の生産性や労務を管理するシステム。従業員らは労働時間や収穫量、使用農薬など作業内容を日々、スマートフォンを使って入力。データをもとにシステム内で集計し、1平方メートル、1時間あたりの生産性が計算され、作業量が一目でわかる。井出さんは「従来の農業は、数値や言語、マニュアル化されず、感覚でしか分からなかったもの。それを”見える化”することで農業の経営者を育てる仕組みを作ることができている」と話す。
昨年7月の導入後から従業員の労働意識も上がり、作業量もアップ。業績も右肩上がりという。「システムを導入している農園は現在、13件。今度は横のつながりを強化して、さらなる農業の活性化を目指したい」
また、農業と福祉の連携のため、障害者を雇用し就労支援に取り組もうと動き始めている同農園。井出さんは「最後はやっぱり人が大事。単にIT化するのではなく、トマトにとっても、人にとっても、より良い環境を提供できたら」と話した。
(連載おわり)
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