厚生労働省によると、認知症またはその予備軍の人は全国で462万人(2012年)おり、今後高齢化に伴い2025年には約700万人に増加するという試算が出ています。実に日本人の5人に1人が当事者になり得る時代、認知症との向き合い方について、県認知症サポート医で、かわしま神経内科クリニック(鵠沼松が岡)の川嶋乃里子医院長に聞きました。
――認知症を正しく理解する上で心掛けておくべきことはありますか。
まずは高齢になれば誰しも成りうる病気だということ。「アルツハイマー型」は70歳代までが多いと言われ、80歳を過ぎると複数の病因によることも少なくありません。一方で、認知症になったからといって何もできなくなる訳ではないということ。症状は人によって様々ですし、周囲の理解やサポートがあれば、最後までその人らしく過ごすことが可能です。
――サポートする家族が向き合うときに気を付けるべきポイントは。
認知症は誰より本人が不安に駆られます。ですから、日常の中で、できないことを注意することはいたずらに不安を煽ることにもなりかねません。むしろ、周囲の方には本人が「今何ができるか」に目を向けてほしいと思います。例えば少しの手助けがあれば料理ができる人もいますし、おしゃべりが好きな人もいます。本人が抱えている心の痛みを汲み取りながら、その人が生き生きできると感じる活動を一緒にしてみて下さい。それがサポートにもつながるはずです。
――介護に行き詰ってしまったとき、良い方法はありますか。
デイサービスやショートステイなどを上手に利用してみて下さい。施設を利用することは恥ずかしいことではありませんし、「介護する人/介護される人」という一方的な構図は双方を疲弊させてしまいます。また介護を「してあげる」ではなく、ケアを通じて互いが成長する、「ケアパートナー」という発想を大事にしていただきたいと思います。
――最後に、地域と認知症の関わり方について考えを聞かせて下さい。
認知症に限らず、高齢化で病気や身体が不自由な人の割合が増えていく中で、皆が皆、同じようにできる必要はありません。互いができることを持ち寄り、できないことがあるなら、支援し合えばいい。いわゆる共助の精神が大切なのだと思います。
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