藤沢市遠藤在住で、旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)が9日、今年度のノーベル化学賞の受賞者に選ばれた。携帯電話や電気自動車などに広く使われるリチウムイオン電池の開発に加え、地球温暖化など環境対策への貢献が評価された。化学賞受賞は日本人では8人目。藤沢ゆかりでは2010年に受賞した湘南高校出身の根岸英一氏(84)以来。
「化学賞は領域が広く、デバイス(装置)は順番が回ってこない。まさか、まさかでございます」
9日、名誉フェローを務める旭化成東京本社で受賞について問われると満面の笑みを浮かべた。
リチウムイオン電池は使い捨ての乾電池とは異なり、繰り返し使える蓄電池で2次電池とも呼ばれる。小型で高性能なことからスマートフォンやノートパソコンなどに広く利用されており、モバイル型情報化社会における要ともいえる。
受賞は3氏による共同受賞で、吉野氏はコバルト酸リチウムを正極とし、特殊な炭素素材を負極とする仕組みを開発。会見では「研究者には柔軟性と執着心の二つが必要。壁に当たっても何とかなるという気持ちが大切」と振り返った。
藤沢市民による快挙に、市内でも祝福ムードが広がった。10日、藤沢市役所を訪れていた60代男性は「日本のものづくりや環境に貢献する技術を世界に示した。市民の誇り」、30代女性は「笑顔に人柄があらわれている。本当に喜ばしい」と祝福した。
大阪府出身で藤沢に転居したのは40年ほど前。本紙の取材に吉野氏は「藤沢市民として受賞できたことを光栄に思っています」と話した。
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