思春期の子どもが発症しやすい「起立性調節障害」。発症すると朝なかなか起きられない、立ち眩み、頭痛などの症状が表れる。朝の体調不良が原因だが、「怠け」や「さぼり」と誤解されたり、不登校として取り扱われるケースもあるなど、社会的な認知度はまだ低いのが現状だ。
渡内在住の井上直子さんは3年前、息子(21)の闘病生活をきっかけに同じ境遇の母親らと支援団体「#つながる朝顔プロジェクト」を立ち上げた。団体名は、病気を持つ子どもの体調が一番つらく、家族の不安も募る「朝」の時間を楽に過ごせるよう、朝顔を育てる活動を行っていることに由来している。
井上さんらは、診断方法などを記したチラシと共に朝顔の種を配布。朝顔の成長写真や日々の生活の様子をブログやSNSでハッシュタグをつけて投稿することで、不安や悩みを共有しようとしている。
3年前に始めた活動は徐々に広まり、今では北海道や九州にも種を送っている。プロジェクトには母親らの参加が多く、「同じ境遇の人とつながると励まされる」「朝顔を育てていると気持ちが落ち着く」といった声が多く寄せられるという。
井上さんは「私も朝顔の栽培が楽しみだった。誰かとつながることで精神的に落ち着けるし支えにもなる。情報も得やすく相談も気軽にできる」と話す。
「いつか朝は来る」
井上さんの息子が発症したのは6年前、中学2年の夏だった。頭痛がひどく朝起きるのがつらくなり、だんだん学校へ行けなくなった。かかりつけの小児科を受診すると「学校へ行きたくないのではないか」と別の病院を紹介されたという。
本人の性格からそんなことはないと、受診できる病院を探し、小田原の病院で起立性調節障害と診断を受けた。その後、息子は通信制の高校へ進学。今は症状も改善し、大学に通っている。
「治療は暗いトンネルの中を進んでいるよう。不安な日々が続くが、いつか明るい朝が来る。私たちの地道な活動が、病気と闘っている子どもやお母さんの力になれば」と話した。
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