甲子園への道は断たれたかもしれない。でも、目標が潰えたわけじゃない――。
「代替大会はきっとある」。緊急事態宣言解除後、ニュースを見ながらそう祈る日々が続いた。そうして決定した大会開催。すぐにウェブ上でチームメイトを集めた。
出場せず、3年生はそのまま引退する選択肢もあった。「でも、誰一人出ないとは言わなかった」。思いは、皆同じだった。
チームが悲願とするのは、過去ベストを更新する16強への進出。昨夏は初戦敗退し、秋大会では地区大会の突破も叶わなかった。「何としてもベスト16を超えたい。そのために今まで練習してきた」。そう語る表情に固い決意がのぞく。
主将としては遅咲きだ。「最初は頼りなくてチームを引っ張っていけるのかと」。就任直後の印象を指揮官が振り返る。自身でも「皆に恐怖感を与える存在になりたくない」。そう思った。それでもいいと思った。
そんな意識が大きく変わったのは自粛中。練習ができず、考えることが多くなった。「このチームの課題は何だろう」。思索を重ね、導き出したのは、精神的な支柱の不在だった。それは本来、主将である自分の役目であるはず―。反省は自覚へと変わり、「絶対的な存在になること」を自らに課した。
学校はいまだ分散登校が続き、登校再開後にできた全体練習は数えるほど。練習不足を補うため、オンラインでチームメイトを集め、試合場面を想定したシミュレーションを重ねる。「一試合一試合を大事に、相手がどこであっても全力を尽くす」。慢心はない。目標に向かい、最後の夏を力の限り翔けるだけだ。
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