藤沢市立中学校で来年度から使用する教科書を決める市教育委員会臨時会が先月31日に開かれ、保守色が強く、歴史認識を巡る記述などで賛否が分かれる育鵬社版は不採択となった。歴史・公民ともに採択されたのは東京書籍版。育鵬社版は教師からも批判が多く、教育現場の声と合致した結果となった。
採択は岩本将宏教育長と4人の教育委員による合議制。藤沢市民会館で行われ、傍聴には75人の定員に対し倍近い申し込みがあるなど関心の高さを伺わせた。
歴史では育鵬社を含む7社の教科書を審議。3人が東京書籍、2人が帝国書院を支持した。
東京書籍を推薦した理由として、岩本教育長は「レイアウトが見やすく本文の説明が簡潔。歴史を多面的多角的に考察できるよう複数の点から書かれている」と説明。他委員からも高評価だった。
公民では6社が採択候補で、3人が東京書籍、1人が帝国書院を推薦。1人が両社を推した。
採択に先立つ先月1日には小中学校の校長と保護者で作る「市教科用図書採択審議委員会」が行われ、教育現場の声を参考に答申。調査書では2社とも高く評価する意見が多い一方、育鵬社は低評価だった。
採択結果について岩本教育長は本紙の取材に「調査書は参考にしたが、(評価の)数に従ったわけではない」とした上で、「公正公平な立場で子どもたちにとってどれが最善かという視点で臨んだ」と振り返った。
市民団体 安堵の声
「9年かかった。ようやく(育鵬社ではない)教科書を子どもたちに渡すことができる」
育鵬社版が採用された2011年に発足し、署名活動などを展開してきた「藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会」の樋浦敬子さんは胸をなでおろした。
同会は18年12月から19年2月にかけて中学校の歴史・公民担当教諭にアンケート調査を実施。自由記述では「思想的に偏りがある」「他の教科書に書いていない内容が多く、掲載順序もおかしい」など否定的な内容が大半を占めた。樋浦さんは「教育現場の声を可視化した資料を生かし、真っ当な判断をいただけた」と話した。
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