全国的に被害が絶えない「振り込め詐欺」。藤沢市内での認知件数は今年１月から８月20日までの間で、藤沢署管内で34件、被害額は約７４１９万円、藤沢北署管内では19件、約４３１３万円となった。前年同時期比では、それぞれ藤沢署がマイナス14件、藤沢北署がマイナス５件と減少しているが、近年は手口が巧妙化。「自分は大丈夫、引っかからない」という思い込みが危険であり、油断ならない状況が続いている。
両署管内ともに最近、増加傾向にあるのが「オレオレ詐欺」。息子など身内・親族を装い、「大事な書類の入ったかばんを失くした」「仕事で失敗してしまい今すぐ現金が必要」などと被害者の情に訴え、銀行や警察、息子の上司・部下など複数人から次々に連絡をし、巧妙に誘導。最終的には金銭を要求する手口が多いという。両署管内ともに約３割を占めており、今後、年末にかけて被害が増える可能性もあるため、注意を呼び掛けている。
キャッシュカード「すり替え型」注意
キャッシュカードを直接だまし取る「手交型」に加え、特に急増しているのが、被害者の隙を見て、カードが入った封筒を、偽物の封筒とすり替える「すり替え型」。いずれも警察や銀行、百貨店などを装い、被害者宅へ訪問。封筒にカードと暗証番号を書いた紙を入れるよう指示したあと「印鑑を持ってきてください」と言って、取りに行っている隙に、偽物の封筒とすり替えてしまうという。
そのほか税金や医療費、年金などの手続きのためと銀行やＡＴＭへ行くよう求める「還付金詐欺」やインターネットサイトの利用料や裁判手続きなど身に覚えのない料金を請求する「架空請求詐欺」などの被害も。市内では今年、発生には至ってないが、電子マネーカードを使った詐欺の手口も見られる。従来の口座振り込みや現金手渡しとは異なり、より手早く、簡単に被害にあってしまうほか、被害に気付きにくいため、細心の注意が必要だ。
身を守るために
両署では、こうした詐欺被害防止のため、銀行や信用金庫など地域の金融機関やコンビエンスストアなど民間企業と連携。水際対策に力を入れる。実際に、市内の金融機関やコンビニエンスストアでは、高額の振り込みや払い出し、電子マネーカードの購入などをしようとする高齢者に、職員や店員が理由を尋ね、不審な点があれば、警察に相談、立ち会ってもらうなどの対策を取り、未然に防ぐことができたという事例も見られる。
両署によると、自身の財産を守るためには、まずこれらの手口を把握し、少しでも不審な点があれば、都度、家族や警察に確認・相談することが大切だという。基本的には、非通知や知らない市外局番・番号の電話に出ないことを徹底。犯人は自分の声を録音されることを嫌うため、留守電機能を上手に活用することもおすすめだ。そのほか、「迷惑電話防止機能付き電話」の活用や、子どもや孫など身内との日頃からの会話や連絡を取ることも被害防止の一助となるだろう。
コロナ便乗詐欺に注意
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、給付金や補助金などに便乗した詐欺にも注意が必要だ。市内ではまだ確認はされていないが、両署によると、役所の職員を装った人から「登録しているキャッシュカードに給付金が振り込めない」と、新しいキャッシュカードを作るよう誘導。「手続きのために暗証番号が必要」と言われ、教えてしまうケースなどが考えられるという。両署は「給付金や補助金などの手続きは、基本的に電話のみの受付はない。警察に連絡または役所の担当課に問い合わせるなど必ず確認をしてほしい」と注意を呼び掛けている。
また、手続きの代行や、存在しない給付金や補助金の申請手続きのためにと、口座番号や暗証番号をはじめ、個人情報を聞き出されてしまう可能性も。県内では、「コロナウイルスに感染して病院に行ったら貴重品の入った鞄を忘れてしまったので、代わりに対応してほしい」といって誘い込む手口や、「今日までにＡＴＭで手続きすれば、申請に間に合う」などと誘導し、偽の口座に金銭を振り込ませようとする手口など「コロナウイルス」という言葉を用いて不安を煽り、だまし取る手口も発生しているという。藤沢市の特別定額給付金の申請期限は８月31日まで。「まさに今が狙われやすい状況」であるため、気を引き締めていきたい。
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