新型コロナウイルスをきっかけに働き方や生活様式が変容する中、地域経済も回復に向けた模索が続いている。果たして”処方せん”はあるのか。各業種や団体関係者に話を聞いた。
湘南ビット店長 河口正人氏
――藤沢駅近くにあるライブハウスの店長をされています。
「ライブハウスは感染拡大の初期段階からクラスター(感染者集団)の矢面に立たされました。密閉した空間に大勢の人が集まるわけですから、『一番危険な場所』だと。ちょうど開店2周年の時期にコロナが直撃し、年内のイベントは全て中止になりました。現在は県のガイドラインに沿った対策をしつつ、160人の定員を半分にして営業を再開していますが、厳しい状況が続いています」
――営業再開にあたって念頭に置いたことは。
「どうしたらここを利用するバンドマンにやる気を取り戻してもらえるかを第一に考えました。うちのように規模の小さな箱は若手にとっての修行の場。自分たちが作ってきた音楽をアウトプットし、お客さんの反応を直に感じられる場は貴重です。ただ、ほとんどが無名ですから、ライブ翌日に深夜までアルバイトし、稼ぎをスタジオのレンタル代に充てるという子も少なくありません。それがコロナの影響で全て出来なくなった。先行きも見えない。モチベーションを保てという方が酷でしょう。再開後ほどなくはお店をバー営業に切り替え、出演者にライブを取り巻く現状を伝えながら再起を促しました」
――演奏をネット配信する「オンラインライブ」については。
「場の雰囲気や熱気が共有できる生のライブに比べて難しさは感じています。ファンであればオンラインでも視聴してくれるでしょうが、無名の若手にはハードルが高い。ただ、同時にメリットも感じています。三密を避けられるだけでなく、ここのライブがどこでも視聴できることは今までになかった発想です。自分たちの音楽を世界に向けて発信できる分、視聴者がファンになりやすい。音源を誰でもネット上に公開できる時代も追い風です。打開の糸口は、両者をうまくハイブリットすることだと考えています」
――今後の音楽業界、特にライブハウスをどう見通しますか。
「新しい形で生まれ変わっていくのではないでしょうか。ライブハウスは閉鎖的な場所ですが、オンラインが一定の市民権を得たことで身近に感じる人も増えるかもしれません。実際そういった声も聞こえてきます。先々の確かなことは分かりませんし、大変な状況は続いていますが、色々な人の助けがあって今がある。だからこそ、僕たち自身が一番前向きじゃなければいけないと思っています」
藤沢版のローカルニュース最新6件
御所見でスマホ相談4月23日 |
|
|
|
|
|