県政報告 編纂1300年の日本書紀「心」の教育に活用を 神奈川県議会議員 松長泰幸
「日本書紀」が編纂されてから節目の1300年にあたる今年、私たちはもう少しこの最初の国史に目を向け、思いを致すことがあってもいいのではないでしょうか。老若男女問わず、日本書紀を通して「心」を育んでほしい。その思いで9月の県議会で一般質問しました。教育長の返答を含め、ご報告します。
松長―「日本書紀」の編まれた頃のわが国は、大化の改新後の動揺が尾を引き、極めて危うい状況にあったと言えます。そこで天武天皇は681年に国民の心を一つにするとともに、歴史を重んずる大国・唐に侮られないため日本書紀を編纂しました。歴史家は、国家の安寧・安定のためには、「歴史の連続性と正当性」「伝統文化の固有性」などがアイデンティティを育み、国民の共属意識を強めると指摘しています。正史「日本書紀」が統一国家としてのわが国の建設に果たした役割には偉大なものがあったと言えます。
そこでお尋ねします。「日本書紀」完成の意義をどう考え、どのように後世に伝えていったらよいのか。とりわけ、児童生徒たちに、どのように語りかけ、親しませていったらよいのか。また、大人に対しても生涯学習の中で取り上げて頂きたいと思いますが、所見をお伺いします。
教育長―日本書紀は、わが国最初の「編年体」の歴史書であり、古代史の貴重な資料という意義があると考えています。新しい学習指導要領では、子どもたちの発達段階に応じた、学習の進め方が示され、学校教育の中で、子どもたちの発達段階に応じ、多面的・多角的に学習することで、日本書紀が将来にわたって、身近な存在になっていくものと考えています。そして、自国の歴史や文化・伝統をより深く理解することは、グローバル社会の中で、自らのアイデンティティを確立するとともに、他国の文化等を尊重する心を育むことにつながっていくものと認識しております。
県教育委員会では、県立社会教育施設において今年、感染症防止対策を図りながら、関連図書の紹介や、講座などを開催することとして、現在、その準備を進めております。
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歴史学者のアーノルド・トインビーは、民族が滅びる3つの原則を挙げ、12〜13歳までに民族の神話を学ばなかった民族は例外なく100年以内に滅んでいるといいます。この観点からも、書紀神話については、小中学校の児童生徒に、一定の時間を割いてきちんと教えて頂きたいです。日本書紀は終息の見えないコロナ禍だからこそ日本人としての心を育んでくれると思います。この節目に学びの機会を増やし、未来へとつなぐ人を育ててほしいと考えます。
松長様
神奈川県藤沢市辻堂3-6-3
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