藤沢市で近年、認可保育所に入れなかった待機児童数が改善傾向にある一方で、保育士不足が深刻化している。市によると、11月1日現在、市内に68ある法人立認可保育所のうち、保育士不足により11園で児童数が定員割れしており、のべ人数は計101人にのぼる。自治体間で保育士の”争奪戦”が過熱する中、市も独自に待遇改善策を打ち出すが、解消への道のりは遠いのが実情だ。
「毎年採用は苦労しているが、最近は本当に人が集まらない。パートでシフトの空きをつないでぎりぎりの状態」
子どもたちの声が響く施設内を案内しながら、村岡保育園の工藤秋雄園長がため息をついた。同園の定員は0〜5歳の120人だが、保育士不足で2歳と3歳児クラスで定員を満たせていない。
今春に向けては必死に採用活動をしたが、ハローワークでの求人では正職員が見つからず。実習などの受け入れをPRするため例年短大に足を運ぶが、今年はコロナ禍で受け入れてくれたのは5校中1校のみだった。
人材不足は現場で働く保育士一人あたりへの負担増にもつながる。同園で働く40代のベテラン保育士は「毎日が忙しく今以上のことに手を回せる余力がない。それでも社会から求められるニーズは増え、保育士の中には『自分の生活すらままならない』という人もいる」と窮状を訴える。
待遇改善へ独自策
女性の社会進出などに伴う保育ニーズの高まりを受け、市は待機児童対策に力を注ぐ。昨年度は新たに6カ所の認可保育園を新設。477人分の定員拡大を図ったことなどが奏功し、今年度の待機児童は過去最少の20人になった。
一方、市保育課によると市内の保育士不足は例年4月時点で毎年20人程度で推移。市は人材確保のため、奨学金の返済支援に加え、今年度からは県外からの就職者に引っ越し費用などを補助するなど独自の待遇改善策を打ち出す。だが、横浜市や川崎市と比べると手厚さに見劣りし、就職希望者が流出してしまうケースも少なくないという。
同課は「給与の底上げを含む根本的な待遇改善は国が責任を持つべき問題」と前置いた上で、「市としても独自策が求められており、待機児童対策と両輪で保育士の確保についても不断の取り組みを行っていく」と話した。
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