ロボットアプリ開発・販売企業「(株)シャンティ」代表 稲垣 幹矢さん 辻堂新町在勤 54歳
健気だから愛しい
○…開発企業の代表と現役耳鼻科医師という異色の肩書。医院の入り口では自社のロボットが出迎えてくれる。コロナ禍の感染症対策で注目を集める、問診・非接触型検温ロボ。通りすがる人に「お熱を測ります」と笑顔で声をかけ続ける姿に「健気でかわいいでしょう。ロボットは私たちの未来を豊かにしてくれるはず」と温かい眼差しを向ける。
○…幼い頃から機械いじりやSFなど本の世界に没頭。未知なるものへの憧れを募らせ、東京工業大学の理学部へ進み「ニューロコンピュータ」に携わった。コンピューター上で人間の脳の情報処理能力を再現しようとする、現在のAIに繋がる研究だ。打ち込む中で、もっと人について知りたいという思いが強くなり、ついには昭和大学の医学部へ飛び込んだ。「人の五感のうち、4つの”センサー”を扱える」耳鼻咽喉科に進み、現在は辻堂駅前でクリニックを営む。
○…人と機械への興味は尽きない。「人間は途方に暮れるくらい複雑な機械。だからこそ興味深い」。2015年に医療に特化したロボットアプリや人工知能の開発を行う企業を立ち上げた。パートナーは、AIと医療の融合について意気投合した院内の予約システム業者。「ロボットと共に未来をみる」を掲げ、MR(複合現実)を活用したリハビリシステムなど全国で注目を集める。
○…持論は「生活に寄り添うロボットは完璧であり過ぎなくていい」。人間とコンピューター、両方の研究に打ち込んできたからこそ、それぞれの良さが分かる。「生活に寄り添うコミュニケーションロボに大切なのは愛らしさ。ターミネーターでなくドラえもんのような。ロボットは健気ではかない。だから愛しい」と微笑んだ。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|