背丈2m超、市章と藤沢市の名が黒々と描かれた大凧が市役所1階エスカレーター前に飾られている。作成したのは相州藤澤凧保存会。かつての宿場町に伝わる伝統的な凧文化を今に受け継ぐ。
相州藤澤凧は、四角型の竹の骨組みの大型凧。家に男児が生まれた時や初節句などに作成することが多く、家紋や屋号を描くことが多い。市役所の大凧は市制施行80周年を記念して作られた。
保存会は、今年で45期を迎える。大きいもので三間(約5m)、50kg近くにもなるため複数名でないと作れず、あげるにも大人15人で制御するなど一苦労。技術も一朝一夕で身につくものではなく、文化の伝承には会の存在が不可欠だ。現在会員は約10人。藍色の法被がユニフォームだ。
会長の宮澤昭さん(75)は、息子の誕生を祝いたいと会に相談、いつしか魅力に取り付かれてしまった。今では制作の屋台骨。「完成の度に次はもっといいものを、と欲が沸く」と笑う。
凧あげ名人は岩本義光さん(73)。毎年5月の節句に凧あげを行うが、どの凧も要となる糸のかけ方は最後に必ず岩本さんのチェックが入る。風を切って鳴る「ブーン」という唸るような音が同凧の特徴だという。「空にあがった時の爽快感は何物にも代えがたい」と二人は声を揃える。
「昔は五月の節句や正月にはそこかしこで凧があがっていた」と懐かしむ岩本さん。地域の開発が進み凧をあげられる場所が減る中、子ども向けの凧作り教室なども行う。同会には会長と同じく「息子の誕生を祝いたい」と声をかけてきた20代の会員もいる。「日本人の遺伝子に大凧の魅力が刻まれているんだよ」と宮澤さんは笑った。
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