おぼろげだった夢が現実に変わった瞬間だった。東大に在学中だった2014年、「このミステリーがすごい!大賞」で優秀賞を受賞し、憧れていた作家への道に光が差した。
翌年、受賞作を改題した「いなくなった私へ」でデビュー。ペンネームの「辻堂」は愛着のある地元にちなんだものだ。
ミステリー作家としての原点は高校1年生のとき。米国から転入試験のために一時帰国したとき、書店で手に取った『告白』(湊かなえ著)を読んで衝撃を受けた。「ページをめくるたび驚きの連続。本にこれほどエネルギーがあるのかと」。純文学から大衆小説まで様々なジャンルを読み漁ったが、本が持つ可能性が広がった。
自身を称して曰く、「魅力的な謎から作るタイプ」。会話やテレビを観ているとき、日常の何気ない瞬間に思いついたアイデアをメモに書き留め、読者があっと驚く物語にくみ上げていく。
一方でデビュー時から大切にしているのが読後感。「じんわりと心が温まり、手放しのハッピーエンドでなくとも希望が見えるような。そんな小説を書いていきたい」。
最近では児童書や恋愛ものなど創作の幅も広げている。秋頃に刊行予定の新作長編は自身としては初となる警察小説だ。
在校生に向けては「コロナ禍で心労も多いと思う。でも創意工夫で切り抜けられるのが湘南生。その精神を大切に」。そう言って微笑んだ。
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