体育時にマスクをつけるべきか、はずすべきか――。夏本番を控え、感染症と熱中症のリスクのどちらを優先すべきか学校現場で課題となる中、藤沢市教育委員会は18日までに市立小中学校で運動時は原則マスクを着用させない方針を固めた。これまでは原則着用としていたが、国のガイドラインに基づいて方針を転換した。今後各校に徹底を呼び掛けていくという。
全市立小中学校で
運動時のマスク着用を巡っては、大阪府高槻市の小学校で2月、体育の授業で走っていた小学5年生の男子児童が倒れ、その後亡くなっていたことが判明。原因は不明だが、児童は搬送時、あごにマスクがかかっていたという。
市教育指導課によると、5月の報道を受け、熱中症のリスクが高まる時期が近づいていることから運動時はマスク不要である旨を各校に通達。同下旬には体育の時は軽度な運動であっても外すよう、改めて周知した。
保護者に向けては18日付けで書面で発信。「(身体的距離をとることや活動時間を短くするなど)必要な感染症対策を講じた上でマスクは着用しない」と明記した。軽い運動も同様で、休み時間に外で体を動かす場合や部活動時も同様の扱いとする。
今回、市教委が方針を転換したことについて、小学1年生の男子児童の母で、市教委などに改善を求めていた後藤さや香さん(44)は「誠意ある対応で細かい点にも配慮を感じた。この文書が現場に浸透するかが大事だと思う」と話した。
学校現場は葛藤
ただ、学校現場でどれだけ浸透するかは不透明だ。これまでも市教委が発信をしても、学校ごとに対応がまちまちだった経緯がある。市教委が保護者宛てに書面を発信した後の21日、記者が市内4小学校の体育の様子を外から確認したところ、いずれも半数近くの児童が運動中もマスクを着用していた。
「運動時は外すべきだと思うが、感染の心配から『うちの子どもには着用させてほしい』という保護者の声もあり、無視できない。反対意見も必ず出る。葛藤を抱えながらやっていくしかない」。市内小学校でクラス担任の40代教諭はそう説明する。担当するクラスでは21日時点で9割の児童がマスクを着用しているという。
同課では「感染者が出た学校では外しづらい状況はどうしてもある」とした上で、「これからの時期は熱中症のリスクが高まる。子どもたちの安心安全を第一に考え、各学校への指導を徹底していく」と話した。
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