「厳しい練習についていけなくて、やめてしまった」--。幼稚園から野球をはじめ、中学校ではチームの4番も任される選手だった。高校でも好きな野球を続けようと入部するが、つらい日々が続いた。「もうダメだ」。夏が終わる頃が限界だった。両親には担任の教諭といっしょに思いを伝え、もう戻ることはないだろうとグラウンドを離れた。
部活をやめドラッグストアでアルバイトをはじめた。新しい経験はそれなりに楽しかった。1年が過ぎようとする頃、夏の大会前に先輩からラインが届く。「人数が少なくて試合に出場できない。助っ人として戻ってきてほしい」。悩みや相談を聞いてくれ優しかった先輩からの頼み。力になれるならと承諾した。
小さい頃から立ってきたグラウンドで久しぶりに白球を追い駆けているのは楽しかった。最初は夏の大会だけと決めていたが、マネージャーから復帰を懇願され心が揺らいだ。なにより「試合に負けた悔しさを晴らしたい」と自分の気持ちと向き合い、戻る決心をした。「二度の失敗はできない」と練習に励み、今では厳しい練習でも大きな声でチームを盛り上げるようになった。
夏の大会は、平塚農商と合同チームで出場する。平日は別々だが、週末には合同チームで練習試合を積み重ねてきた。「しっかりコミュニケーションが取れている。合同チームというハンデは感じない」。目標は初戦突破。先輩と戦った昨年のリベンジと自分を成長させてくれた野球への恩返しに一勝を目指す。
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