用田にある寿昌寺の裏手、里山の中にある「中将姫」を祭るほこらが、地域の人々によって修繕された。壊れていた屋根を葺き替え、軒を伸ばし床も張替えリニューアル。古くからの地域の拠り所が真新しくなった。
中将姫は、奈良時代、右大臣・藤原豊成の娘として奈良の都に生まれた。5歳で母を亡くし、豊成が後妻を迎えると、その賢さや美しさを妬む継母に命を狙われ逃亡生活を経験。その後、仏門に入り信仰を深め、極楽浄土に旅立ったという。その中将姫が蓮茎を糸に編んだとされる曼陀羅は、国宝として奈良の當麻寺に保管されている。
用田には、継母から逃れた姫が隠れ住んだとの言い伝えがある。ほこらは一時期を過ごした場所で、今でも命日とされる3月14日に合わせ、地域住民らによって供養祭が開かれている。
だが5年ほど前に落ちた木の枝で屋根が破損。年月が経つにつれ木が腐り、中の資料が濡れてしまうように。そこで地域の有志が寄付を募り修繕することになった。
寄付を呼びかけた長谷川健一さん(74)と渡辺大策さん(74)は「私たちの世代で新しくして、いつまでも守り続けてほしかった」といい、「来年はコロナで中止していた供養祭をきれいになったほこらの前で」と期待していた。
地域の拠り所
長谷川さんは古い家柄で中将姫にまつわる話も伝え聞く。ほこらは、女性だけが農閑期などに集まりを持っていた場所で、次第に男性も交じり、人々の拠り所として愛されていた。
幼い頃には、修繕などの資金調達に、芝居を呼び人々を集めたことを覚えているという。
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