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今、子どもの口の中は! 取材協力/藤沢市歯科医師会・学校歯科部
学校歯科保健統計調査によると、12歳児の虫歯は1987(昭和62)年度は4・51本でしたが、2019(平成30)年度は0・73本となり、子どもたちの口から虫歯がほとんど無くなっていることが分かっています。では、今の子どもの口に何が起きているのか?藤沢市歯科医師会・学校歯科部理事の中村健歯科医師に話を聞きました。
歯並び咬み合わせに注意
――子どもの口から虫歯が減少し、新たな問題が出ているようですね。
中村 フッ素を使った予防や歯科医院での健診が習慣となり、子どもの口から虫歯が無くなってきました。そのかわり今の子どもには、「歯並び」「咬み合わせ」が悪いという問題が増えています。歯並び・咬み合わせが悪いと「食べる」など口の機能に影響を与えるだけでなく、それが全身の健康や子どもの成長に大きく影響します。
――原因はどんなことで、何に気を付ければいいのでしょうか。
中村 原因として遺伝等の先天的因子と生まれた後の後天的因子(環境因子)の2つがあります。この後天的因子が育児環境の変化により、最近増えてきていると思います。
まず、【1】加工食品などの軟食を好んで食べるようになったため、噛む回数が減った。【2】習慣的にお口をポカンと開いて口呼吸をしている。【3】舌を突き出してしまう様な嚥下(食べ物や飲み物を飲み込むこと)をしている。【4】姿勢の悪い子どもが増えた―。
これらの因子が顎の形態やお口の機能の発育に影響を与えて、歯並び・咬み合わせを悪くしているのです。
正しい機能が正しい形態を育て、正しい形態が正しい機能を育てるのです。
お口ポカンの子ども3割
――口呼吸は今の子どもに多いようですね。
中村 日本の子どもたちの約3割が日常的に口呼吸で、いわゆる「お口ポカン」の状態です。自然治癒は難しいといいます。「お口ポカン」の状態は口が乾くので、唾液分泌低下による虫歯・歯周病の悪化、また、鼻呼吸と違い呼吸がダイレクトに肺に達するので体調不良(咽頭炎、気管支炎、ウイルス感染)になりやすい。
悪い症状は連鎖するので、集中力の欠如、姿勢の悪化、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性も指摘されています。
マスク生活で悪化
中村 ロッテの行った調査によると、マスク着用時は44・6%の人が口呼吸になっています。「頭がぼーっとして、物事に集中しづらくなった」「喉が乾燥するようになった、咳が増えた」など体の不調を感じているようです。
子どもたちの半数以上が、1日に6時間以上マスクを着用しているそうですが、口呼吸による悪影響にきづかないまま生活を続けてしまうと、様々な問題を引き起こす可能性が考えられます。未来を力強く生き抜くことのできる子どもの育成のためにも、正しい情報や知識を発信していきたいと思います。
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