「絵がうまく描けないのを理由に、美術を嫌いにならないで」という思いで、美術教科の楽しさを伝えている学校がある。遠藤にある滝の沢中学校。廊下や階段の壁には1年生から3年生の計約500点の作品がずらり。学校を美術館に見立て、数多くの作品を飾ることで、校舎は華やかに、生徒にとっては、自信や向上心が高まるきっかけとなる相乗効果をもたらしている。そんな滝の沢中学校を記者が取材した。
滝の沢中学校の校舎に入ると、美術部が描いたであろう大きな絵画が記者を出迎えてくれる。2階の職員室へ向けて登る階段の壁には、藍染めされた手ぬぐいや、和紙染めした特製うちわなどの作品が並ぶ。ほかにも絵画や陶芸、お面などあらゆる作品が展示される。
「自分の作品が展示されるとうれしいし、友達と一緒に鑑賞しながら、感想を言い合えるのも楽しい」。2年生の真壁千鶴さんは笑顔で話した。元々イラストを模写することが好きなで3年生の作品を見に行き、色使いや筆使いなど描き方の工夫を勉強することもあるという。
美術担当の赤木明子教諭は「一生懸命に取り組んだその先にある”楽しさ”を伝えたい」と話す。技能教科で、授業時間も短い美術の時間。だからこそ学校生活の中で目に触れるところに作品を展示することで「美術は身近なもの」と気付かせてくれる。
同校では他にも、修学旅行のしおりや、水牛の角から作るペーパーナイフ、体育館履きのデッサンなど、身近なものを題材に取り込むこともある。赤木教諭は「美術は身近にあることを伝えるのと同時に、ものを大切にという事も伝わってほしい」と思いを込めた。
コロナ禍では文化祭が中止となり、美術部の作品を披露する場も失われた。そのため美術部にとっても展示は貴重な発表の場となる。部長の佐々木うてなさん(3年生)は、「多くの人に作品を見てもらえるのはうれしい。自信にもつながる」と話した。
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