「少しでも世の中を優しくしたい」。片瀬海岸在住の石澤勝彦さん(63)は現在、そんな思いを込めた絵本づくりに挑戦している。
タイトルは「風船魚が見た『みんなの病院』」。新江ノ島水族館を抜け出した風船魚の目を通して、心の傷を癒す対話の重要性を訴える内容だ。モチーフはフィンランドで発祥の医療的心のケア、オープンダイアローグ(開かれた対話)。「みんなで一人を認め、励ますことで、その人が元気になったり、心が病んでしまう人が減らせる」と石澤さんが考えた。
絵は事故で体などに障害を負った善行の津田希望さんが担当。元精神科の看護師の経験もあり、石澤さんの声掛けに応え参加。温かく柔らかなタッチの絵は物語をより優しくしている。
絵本づくりのきっかけは20年前、絵本や児童書のさし絵で知られる鎌倉在住の作家向井長政さんとの出会い。当時、石澤さんは企業審査を担当。「審査は世の中のネガティブな部分ばかりを見つける仕事だった」。社会には貧困、差別、環境など様々な課題がまん延。「自分で何かできないか」と思っていた。そんな時に出会ったのが向井さん。友人に誘われた原画展で偶然本人と遭遇。意気投合し話す中、「石澤くんが文章を書いたら絵を描くよ」と誘われた。しかし、仕事をしながらの創作は進まず、向井さんは2019年に他界。「あきらめよう」とも思ったが「完成させて向井さんを喜ばせたい」と再起。作画担当を探し続け津田さんに出会い、昨年末、絵と文をほぼ完成させた。
現在、資金を集めるためクラウドファンディングに挑戦中。絵本が完成したら販売ではなく「学校や図書館にすべて寄付」と石澤さん。詳細はウェブ検索「READYFOR いしざわかつひこ」で。2月10日締切。
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