地域経済活性を担う市内最大の経済団体、藤沢商工会議所。コロナ禍にあえぐ中小企業に寄り添う伴走型支援を展開する一方、昨年は県内商工会議所で最大規模ともいえるコロナワクチンの職域接種も行い、地元事業者らに大きな安心を届けた。当紙では、その船頭たる増田隆之会頭にインタビュー。職域接種への取り組みや今後の活動について聞いた。
――昨年は商工会議所主体の職域接種が話題となりましたが。
「経済回復はもちろんですが、それ以前に求められているものは何か。新型コロナという大災害の中、会議所に何ができるのか考えた一つの答えです。藤沢市のワクチン接種が若干遅れており、カバーできていない人もいると聞き、ならば商工会議所で会員やその家族など間口広く受けられる職域接種をしようと実施しました。ただし実施すると2千万円の赤字や、職員が22日間、会場に縛られるといったリスクもある。しかし、『うちがやらなければどこがやる』とみなの思いが一致し、藤沢市の協力もいただき、実現しました」
――市外の家族なども接種できたことで、働く人たちの安心にもつながりました。
「地元企業で安心して働けるのはご家族の健康あってこそです。職員も朝から晩まで大変でしたが、接種会場では『ありがとう』と言ってみなさん帰っていく。商工会議所の存在感、姿勢を示す原点としての事業だったと思います。現在、3回目の職域接種に向け調整中です。より予算もかかる事業で迷いもありましたが、やるべきと判断しています」
――また、経営支援や公的補助の相談でも伴走型で大きな存在感を示しました。
「相談件数はコロナ以前と比べ何十倍も増えました。多くの事業者の方が不安を抱えられていると思います。そんなみなさんのご相談に応えていくことが商工会議所の一丁目一番地の仕事であり、その旗印の下、職員が丁寧に一緒になって取り組んだ信頼の証でもあると思います。それには市との太いパイプも生きています。市の担当者と緊密に連絡をとり、常に最新の支援策の情報を入手しています。加えて市の支援策に活かしてもらおうと、行政ではキャッチしきれない地域経済の状況を伝え、ともに考えています。お互い補いあう関係が非常にうまく機能しています」
――変異株が気になるところですが、イベント復活の動きもあると聞きました。
「再び感染者が増えているので注視していくことが前提ですが、産業フェスタ、遊行の盆、市民まつり、ワインまつりといった中止していたイベントを今年こそやりたいと力を入れています。もちろん、内容を精査し、予防策を講じ、適正規模を探った上で安心して楽しめるようにしなければなりません。やれることはそれほど多くはないかもしれません。難しさもあります。しかし、イベントを通して市民の心を明るく、まちを元気にし、地域経済の活性につなげることは大事だと考えます」
――まちづくりにも積極的に参加すると聞きました。
「先にお話しした市との連携を生かし、情報交換と相互のサポートで藤沢市のブランディングにも注力していきたいと思います。市内では村岡新駅周辺のまちづくりや、建て替えが予定されている市民会館、さらに藤沢駅南口の再開発もあります。市井の声や今までのノウハウなどを提供し、積極的に関わりながら魅力アップのお手伝いをしていきたいと思います」
――新たな試みも形になってきていますが。
「当会議所も関わる藤沢駅北口サンパール広場などのエリアマネジメントや、プロバスケットボールリーグへの参画があります。前者では、若い人たちが知恵を出し合ってイベントやマルシェを開き、新たな魅力の創出に取り組んでいますので、これからも楽しみです。後者に関しては実現すれば、まちのさらなる活性化につながります。今、連携している茅ヶ崎、寒川のみなさんと一緒に、生みの苦しみを味わっています」
――最後に市民へのメッセージを。
「『あってよかった、なくては困る商工会議所』を合言葉に、今年こそ、みなさんとともに活気ある藤沢を取り戻したいと思います」
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