大学生による学習支援団体「ふじらぼ」の代表を務める 原田口 昂弘さん 本藤沢出身 27歳
20年前の体験、恩にかえ
○…小学2年生の夏、家庭が崩壊した。両親は喧嘩が絶えず、母が家出。ある深夜、些細な行き違いで父親から家を追い出された。真っ暗な夜道をランドセルを背負って彷徨い、震える手で友人宅のチャイムを押すと友人の母が迎え入れてくれた。堰(せき)を切ったように涙と嗚咽があふれた。全ては20年前、自らが救われた経験を恩として返したいとの思いからだ。
○…不登校や経済事情で学習塾に通えない子、単に勉強が苦手な子。月2回、市役所分庁舎と青少年会館で実施する勉強会では隔てなく小中学生を受け入れる。講師を務めるのはボランティアの大学生。「大人でも同世代でもない”ナナメの関係性”だと子どもが頼りやすい」。学習会では勉強する時間と遊ぶ時間を分け、楽しく学べる環境づくりに心を砕く。保護者からは「子どもの勉強への姿勢が180度変わった」と感謝の声も寄せられるようになった。
○…「数年後には藤沢で一番頼られるチームにしていきたい」。そんな青写真を描く。草の根活動ではあるが、先頃は子どもの居場所支援を行うNPOとの連携も始まった。今年中には一般社団法人として法人化する構想もある。本業ではIT企業のマーケティング業務に従事しており、「将来的にVR(仮想現実)の仕組みも導入できたら」。発想はふくらむ。
○…祖父母に引き取られ、22歳まで藤沢で暮らした。あの夏の体験、他と異なる家庭環境。辛い思い出は少なくない。「でも、楽しい思い出の方が多いかな」。部活帰りに友人と歩いた道、近所の駄菓子屋、街には青春がつまっている。何より、家族、友人、学校の先生、多くの助けがあってこそ今がある。「自分が育った街。原点を忘れずに、がんばりたい」。決意が口をついた。
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