「世界らん展日本大賞2018」で優秀賞に輝いた 寺尾 やゑさん 本鵠沼在住 95歳
育てる過程が面白い
○…先月、都内で行われた「世界らん展日本大賞」の個別部門で2位にあたる優秀賞を獲得した。受賞作品は大きさが40〜50cmほどで、爪楊枝ほどの細い茎に白い花が咲く「デンドロビュームパピリオ”ジャイアント”」。785作品が出品され、株の評価で最高ランクのゴールドメダルも受賞。同部門には、10数年応募していたが、優秀賞は初めて獲得した。「賞が取れたらいいと思っていたが、2番目の評価を貰えるとは思わなかった。表彰式は観客として観に行くつもりだったのでとても驚いた」と振り返る。
○…蘭を育て始めたのは今から40年ほど前。昔から花が好きで、芳しい香りと存在感に魅せられた。1日は朝食の前に自宅にある温室へ向かうことから始まる。一鉢一鉢、様子を観察し、気づけば1時間近く経っていることも。夢中になるあまり、朝食を食べずに昼を迎えることもある。自分の手でやりたいという思いが誰よりも強く、どんな時も蘭の待つ温室へ足を運ぶ。「花と会話するのが楽しい。蘭は育てるのが難しいのも多いけど、そこが醍醐味」と笑顔を見せる。
○…植物だけでなく、人の成長を見守ることも好き。自宅でニワトリを飼っていた頃は産んだ卵を使って帰宅途中の湘南高校の生徒にシュークリームを作ってあげたり、学校に通えない子どもがいると寄付してあげたりと困っている人がいるとつい身体が動いてしまう。現在は花だけでなく、家庭菜園で大根やブロッコリーを栽培。「買ったもので生活するのは好きじゃない。何でも育てる過程が面白い」と思いを語る。
○…東京で生まれ、終戦後、1948年に両親と共に藤沢へ。子ども2人に恵まれた。3人の孫とは電話で話すのが今の楽しみの一つだ。「戦争の経験があったからこそ、物があることや何かを育てる大切さがわかる。若い頃からその気持ちを忘れていないことが今に繋がっている」